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再会と複雑に絡み合う嘘(5)

「葵の母親は生きている」


 パパが私を優しく抱きしめながら教えてくれたけど……


「……え? おばあちゃんが?」


 叔父さんは亡くなったみたいに言っていたけど……


「鈴木真理の兄がいる施設に隠されている」


「でも……施設には覚醒した人しか行けないんじゃ……」


「さっきいた施設長……」


「あの優しそうな施設長?」


「あの人が施設長になるずいぶん前……見守っていたのが葵の母親だった」


「……そうなの? でも……おばあちゃんは出産直前に連れ去られたんだよね?」


「そうだ。だから救出しに行った。そして葵の母親は助け出された」


「ママは……助け出されなかったの?」


「一人で救出に向かったらしくてね……身重の葵の母親を連れ出すだけで精一杯だったんだ」


「身重?」


「葵は双子だった」


「……え? 双子?」


「救出された葵の母親は駿河の里でもう一人を産んだ」


「駿河の里で?」


「駿河の里なんて聞くと田舎に感じるかもしれないけど、すぐ近くにあるんだよ。そして……双子のもう一人が……パパだよ」


「……え?」


「パパと葵は双子だった」


「パパが……私の……叔父さん……?」


「それからパパは施設長の息子として育てられた」


「じゃあ……あの施設長は……」


「慈悲深い人だよ。善良で立派な人だ。真葵の事も小田ちゃんと葵の子だと知っていても知らない振りをしてくれているし」


「……そうだったんだね」


「でも……それもパパ達が駿河の末裔だからなんだ」


「……え?」


「騙されてはいけない」


「……パパ?」


「あの里はおかしい」


「駿河の里の事?」


「さっきも話したけど……異常なんだ。『駿河』を蘇らせる事に心血を注いでいる。それに……施設長には不審な点がある。拐われた場所には産まれたての葵がいたのにそれを『繋ぐ者』や当時の施設長に報告しなかった。報告していれば葵はすぐに救出されていたはずなのに……」


「確かに……話せない理由があったのかな?」


「分からない。施設長クラスになると心が聞こえてこないんだ。まぁ、パパが覚醒者だと知っているから聞かれないように気をつけているんだろうけどね。それと、施設長がパパと葵の母親を隠している事は『繋ぐ者』ですら知らないんだ」


「そうなの?」


「施設長の独断で隠している。本来施設には覚醒していない者を保護してはいけない決まりがあるからね」


「危険を犯してまでおばあちゃんを守っているの? パパ……どうして駿河の里の忍びは駿河を蘇らせたいの?」


「パパにはよく分からないんだよ。感覚? 血? 環境? ……恐ろしいほどに『駿河』を崇拝している」


「崇拝……?」


「忍びの里の駿河を名乗る者達は『駿河』の末裔に惹かれるようだ」


「それってどういう……?」


「分からない。パパを『駿河』の末裔だと知るのは施設長だけなんだ。それなのに忍びの里の人達はパパに酷く執着した」


「執着?」

 

 何があったんだろう?

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