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再会と複雑に絡み合う嘘(4)

「パパ……お願いがあるの」


 こんな事を頼めるのはパパしかいないから……


「うん? 何かな?」


「人、一人が跡形もなく消える爆弾みたいな物が手に入らないかな?」


「……え? そんな危険な物が欲しいの?」


「叔父さんが言っていたの。隔世遺伝した駿河の末裔の亡骸を何かに使っているって……」


「まさか……」


「死にそうになったら使いたくて」


「真葵……」


「完全体の駿河の亡骸を誰かに検査でもされたら……他の駿河の末裔がもっと酷い目に遭わされるはずだよ」


「どうしていつも真葵ばかり苦しまなければいけないんだ……」


「苦しんでいるのは私だけじゃないよ。駿河の末裔皆が苦しんでいるの」


「亡骸を残さないつもりなんだね」


「……うん。大丈夫。私には痛覚が無いから痛くないよ?」

 

「でも……嫌だ……そんなのは……大切な真葵をそんな目には……」


「えへへ。やっぱりパパは優しいね」


「……真葵」


「死ぬまでに……一度くらいはママに会えるかな?」


「……会いたい?」


「……よく分からないの。ママって……どんな感じなのかな?」


「ごめんね。母親が亡くなっていたって嘘をついて……」


「ううん。仕方ないよ。それにパパが本当の父親じゃないなんて疑った事がないくらい大切に育ててもらったし」


「本当の父親が……まさか小田ちゃんが真葵を迎えに来るなんて思わなかったよ。どうやって調べたのか……真葵が葵の娘だという事は一部の人しか知らなかったのに。いや、違うね。小田ちゃんはたぶん短パンの駿河に接触して心を覗いたんだ」


「……おじさんと叔父さんは施設で一緒だったんだよね?」


「そうだね。あの頃の……二十三年前の小田ちゃんは荒れていてね。短パンの駿河はずっと気にかけていたんだよ」


「おじさんが優しいから?」


「うーん……それもあるかもしれないけど……駿河の里の忍びは『駿河』に惹かれるっていうのかな……」


「叔父さんが『駿河』の末裔だから気にかけてくれたの?」


「短パンの駿河はその事実を知らないはずだよ。それでも小田ちゃんに惹かれるのは……駿河の里が異常なくらい『駿河』に執着しているからなのかもしれない」


「異常な執着?」


「『駿河』を蘇らせたいってね」


「パパも駿河の里の忍びなんだよね?」


「……うん……いや……少し違うかな?」


「……少し違う?」


「……葵の母親が……真葵のおばあちゃんが出産直前に拐われた事を聞いた?」


「……うん」


「そうか……」


「パパ? 話しにくい事?」


「うーん……少し複雑な話だけど……真葵はもう二十二歳のお姉さんだ。全て話す時がきたのかもしれないね。次はいつこんな風に話せるか分からないし」


「パパ?」


「葵が産まれた時の話からしよう」


「……? うん」


 叔父さんが教えてくれた以外にも何かあったのかな?

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