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再会と複雑に絡み合う嘘(3)

「いいね? 絶対に真葵が駿河の完全体だとばれないように気をつけるんだよ? 真葵の取り合いが始まれば大勢の死者が出る事になる。もし他国に知られたら……戦争が始まるかもしれない」


 パパの言う通りだ……


「パパ……私……怖いよ。私のせいで誰かが死ぬなんて嫌だよ」


「真葵……いいかい? 誰が覚醒者で誰に心を聞かれるか分からない。小田ちゃんにももしかしたら心を聞く力があるかもしれない。常に何も知らない振りをするんだよ?」


「……うん」


「真葵がそうしなければ小田ちゃんは酷い最期を迎える可能性が高い。小田ちゃんは真葵の為ならなんでもするからね」


「大切な人達を守る為に……何も知らない振りをするんだね。……あ、おじさんが……私を見守っている短パンのおじさんは、もしかしたらパパが狩野さんだって分かっているかも」


「え? 短パン? ああ……駿河の里で一緒に育ったんだよ。そうか……気づかれていたのか」


「でも確信はないみたいだったよ? 狩野さんを非公認の見張る者だと思っていたみたいだし」


「なるほど……教えてくれてありがとう。気をつけるよ」


「パパ……おじさんを消したりしない?」


「大丈夫だよ。そんな事はしないから。真葵……口から出る言葉だけじゃなく心にも気をつけるんだよ。誰にどんな力があるか分からないからね」


「……うん」


「真葵は優しい子だから……鈴木真理を放っておけなかったんだよね。でも、こんな事はこれで終わりだ。なるべく目立たずに暮らすんだ」


「……パパ。私がいなくなれば……全てが終わるんじゃ……」


「それは違う。人間は欲深い。真葵がいてもいなくても治療をやめる事はないよ」


「新たな駿河を作り出そうとするの?」


「それだけじゃない。母親が覚醒者、父親が隔世遺伝の子を作り出す為に今よりも酷い事をするに決まっている。いいね? 未来の子供達の為にも真葵が完全体だという事を絶対に隠し通すんだ」


「……うん」


「それから……狩野の一人がパパだと誰にも知られないように気をつけるんだよ?」


「パパは私を守る為に狩野さんになったの?」


「そうだよ。地位が高い方が自由に動けるから。いいね? パパは狩野だよ? 真葵は何も知らない女の子……分かったね?」


「うん。でも……鈴木さんは……助けたいの」


「鈴木真理……分かった。できるだけ協力するよ。でも真葵の知能が高い事はばれないようにしないとね」


「うん」


「小田ちゃんが『真葵はバカだ』って毎日のように言っているから周りもそれを信じている。小田ちゃんに感謝しないと……」


「叔父さんが施設に迎えに来た時に知能が高い事がばれたの。もしかしたら叔父さんにも心を聞く力があるのかもしれない。でも叔父さんは心を聞かれないように気をつけているから私には何も聞こえなくて……」


「小田ちゃんは用心深いからね。真葵も誰かの心を聞かないように気を付けるんだよ。口から出ていない他人の心を知っていたら、いつかぼろが出て真葵の事がばれてしまうかもしれない」


「……うん。普通の女の子として暮らしていくよ……そうしないともっと被害者が増えるから……」


「それでいい。それでいいんだ……」


 こうしないといけないって分かっていても……

 鈴木さんのおばあさんとおじいさんや家族を拐われた人達を見ていると申し訳なくて……

 心が痛くなるんだよ……

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