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再会と複雑に絡み合う嘘(2)

「初めておかしいと思ったのは……狩野さんが二人いるって気づいた時だよ……」


 前に会った狩野さんと今日の狩野さんは明らかに別人だった……


「……はぁ。本当に真葵は賢いね」


 やっぱりパパだ!

 生きていたんだ……


「パパ……無事でよかった」


 パパに抱きつくと優しく抱きしめてくれる。

 あぁ……

 パパ……

 生きていてくれて本当によかった……

 涙が止まらない。

 大好きなパパが私を抱きしめてくれている……

 でも……

 すごく痩せたんだね。

 もしかして狩野さんになる為に痩せたの?


「ずっと会いに行けなくてごめんね。真葵……」


「狩野さんになって私を見守ってくれていたの?」


「そうだよ……」


「……整形したの? 顔が違うよ?」


「そうだね。狩野として『繋ぐ者』になる人は皆、同じ顔と体型にするんだよ」


「狩野さんが一人だと思わせる為に?」


「本当に真葵は賢いね。狩野は重要な立場にある。もし死んだりすれば狩野率いる『暗殺部隊』は解体されてしまう。誰か一人が死んでも他の狩野がいればそうはならない。もちろんこれは機密事項だよ?」


「パパ……危ない事をしているんだね」


「真葵……」


「あの時……バーで私に会った狩野さんはパパじゃなかったよね?」


「そうだよ。あれは他の狩野だ。偽真葵と小田ちゃんと鈴木真理がバーで会った時にもいた狩野だよ」


「公園でおじさんから離れたらダメだよって言ってくれたのと、さっき襲撃を受けた時の狩野さんはパパだよね?」


「真葵はすごいね。その通りだよ。いいかい? 同じ狩野でも真葵を無理矢理覚醒させようと企む奴もいる。パパじゃない狩野をパパと間違えないんだよ?」


「……うん」


「偽真葵まで使って鈴木真理と会わせて真葵に刺激を与えようとした狩野には罰が与えられた。あいつはもう狩野には戻れない」


「パパ……」


「心配したんだよ。鈴木真理の為に自分を検査してくれなんて……あの施設長の所じゃなかったらどんな酷い目に遭わされていたか」


「……ごめんね。でも鈴木さんを見殺しにはできなかったの。それにパパが目配せをしてくれたでしょ?」


「真葵……」


「パパに抱っこされたのは……久しぶりだね」


「真葵は甘えん坊さんだね」


「えへへ……うん」


「真葵。いいかい? 悪い奴に襲われてもギリギリまで手を出さないんだよ?」


「ずっとパパが言っていた事だよね? 『本当にそうなの? 』ってのらりくらりと話を引き延ばす……」


「必ず誰かが助けに来るから真葵はそれまで絶対に手を出さないんだよ? どうしてかは……分かるよね?」


「……うん。私が……『完全体の駿河』だから」


「……小田ちゃんには?」


「話していないよ。約束通り誰にも話していない……」


「それでいい。パパも誰にも話していない。これは二人だけの秘密だ。絶対に覚醒者に心を聞かれたらダメだよ?」


「うん。さっきも気をつけたから大丈夫だったよ」


「真葵は偉いね」


「パパ……隔世遺伝した駿河の何かを、ピックアップした人の身体に入れて覚醒させようとしているって本当? そんな事ができるの? 私は自分が『完全体の駿河』だとしか聞いていないから他の事は知らないの」


「あぁ。そうだね……うーん……正規の団体は覚醒した駿河の末裔を保護しているんだけど、非公認の団体はそれを知らないんだよ。どこからか手に入れた駿河の何かを何の関係もない一般人に入れ込んで意味の分からない治療とやらをしているらしい」


「そんな……」


「大丈夫。『繋ぐ者』は、やり過ぎの団体を消滅させる事ができる。真葵が安心して暮らせるようにパパがひとつずつ潰していくからね」


「……うん」

 

 パパはずっとこうやって私を助けていたのかな?

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