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再会と複雑に絡み合う嘘(1)

 こうして私と鈴木さんは『繋ぐ者』の独房に向かう事になった。

 やっぱり独房っていうくらいだから暗くて窓がなくてトイレとかが丸見えだったりするのかな?

 トイレが丸見えなのは嫌だけど……

 鈴木さんがこのまま殺されちゃうのはもっと嫌だよ。

 覚醒が失敗すると二か月後には死んじゃうってどういう事なんだろう…… 

 その辺りの話が聞ければ助かる方法が見つかるかもしれないけど……

 うーん……

 狩野さんに訊けば教えてくれるかな?



 なんて色々心配していたのに___


「うわあぁ……すごい。これが独房?」


 絶対に我が家の財布じゃ泊まれないような最高級ランクのホテルみたいな広い部屋……

 

「はは。真葵ちゃんは嬉しそうだね」


 狩野さんは『繋ぐ者』で偉いらしいけどそんな風には見えないよ。

 いつも通り穏やかだし。

 

「だって叔父さんは旅行とか面倒だって言って夏休みも冬休みもずっと探偵事務所でいかがわしい本を見ているだけだったんだよ。こんなすごい部屋が独房なの? この一部屋だけで私の家の全部の部屋を合わせたよりも広そうだよ……」


「地下に独房もあるんだけどね。さすがに二人入るには狭いんだ。この部屋は客室だよ。一か月二人で使うといい。食事はこちらで用意するよ。でも、鈴木真理が暴走しそうになったら……分かるね?」


「うん。そうはならないと思う」


 今、鈴木さんはお風呂に入っているんだけど……

 かなり疲れたみたいだからお風呂で寝ないか心配だよ。


「真葵ちゃんは鈴木真理が怖くないみたいだね。襲われている最中も平気そうだったし」


「うーん……もっと怖い思いをしてきたから? それより私……思ったんだけど……聞いてくれる?」


「……? 何かな?」


「鈴木さんの事なんだけど……覚醒に失敗したっていうよりは解離性同一性障害じゃないかな?」


「それは俺も思ったよ。でも……」


「うん。それだけじゃ説明がつかない事もあるよね。精神破壊とか……それは駿河の力だから鈴木さんが使えるのはおかしい……」


「そうだね」


「狩野さんなら分かるよね?」


「……何を?」


「鈴木さんも駿河の末裔なんでしょ?」


「……どうしてそれを?」


「なんとなくね……鈴木さんも隔世遺伝したのかと思ったの。鈴木さんのおばあさんとおじいさんは普通の人に見えたし……」


「……鈴木真理『も』か。小田ちゃんが隔世遺伝した事を聞いたの?」


「……うん。ママの事も聞いた……」


「そう……」


「正規の施設は駿河の末裔を保護する場所……私はそう考えた。違うのかな?」


「……小田ちゃんもそう考えているの?」


「ううん。叔父さんは難しい事を考えるのが嫌いだから」


「はは。小田ちゃんらしいよ」


「狩野さんは知っているんだよね?」


「……何を?」


「私の知能の事を……」


「……どうしてそう思うの?」


「……狩野さんが……パパ……だから?」


「……! どうして……そう思うの?」


 この感じ……

 やっぱりパパだ……

 十一年育ててくれたパパを間違えるわけないよ。

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