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襲撃なんて物語の中だけじゃないの?(5)

 銃を向けられたのなんて初めてだ。

 鈴木さんを狙っているの?

 真夏なのに背中が凍りそうなくらい寒い……

 でも……

 頭はあり得ないくらい冴えている。


「真葵!」


 叔父さんがおじいちゃんを支えながらゆっくり歩いてきている。

 少し離れた所で、おじいちゃんを見守る者が電話をしている姿が見える。


「叔父さん! おじいちゃん! 大丈夫?」


「大丈夫だ。親父は腰を抜かしただけだ。真葵は怪我は!?」


「私は平気。お兄ちゃんは? 姿が見えないけど……」


「駿河? 確かに……どこに行ったんだ?」


「ここだ……」


 お兄ちゃんが車の陰から大きい男を引きずりながら歩いてきている。

 

「お兄ちゃん! 怪我は?」


「俺の心配より自分の心配をしろ。狙われたのはお前だ」


「私は平気だよ……その引きずっている男は?」


「襲撃してきた奴らのリーダーみたいだ」


「リーダー?」


「その車の女に何かされたみたいだな」


「……え?」


「感情がおかしくなってるみたいだ」


「感情がおかしい?」


「殴っても殴っても立ち上がってきた。身体中の骨が折れてるはずなのに……」


「……そんな」


 これが駿河の精神破壊?

 本当にそんな事ができるの?


「鈴木さんが……私を襲撃させたの?」


「ふふ。そうよ」


「鈴木さんは、そこまでして私を拐いたいの?」


「お前に苦痛を与えたい。その綺麗な顔を歪めながら命乞いをする姿が見たい」


 恍惚とした表情……

 心から私を苦しめたいと思っているんだ……


「私がぬくぬくとした環境で何も知らずに育ったから?」


「……初めはそうだった。だが……」


「だが?」


「……お前には精神破壊ができない」


「……え?」


「俺と目が合えば精神破壊できるはずなのに……心は聞けるのに……精神に入り込めない」


「……目が合えば精神破壊ができる?」


「強く願うんだ。こいつを俺のしもべにしたいとな」


「……しもべ?」


「俺は今逃げてもすぐに死ぬだろう。だったらお前の身体をもらおうかと考えていた」


「私の身体をもらう? どうやって?」


「俺は精神に入り込む事ができるからな」


「そんなの無理だよ」


「お前が何も知らないだけだ」


「今あなたがいるその身体は、鈴木さんの身体なんだよ」


「だからなんだ? 今は俺の身体だ」


「本当にそうなの?」


「……さっきからお前はそればかりだな」


「鈴木さん……おばあさんとおじいさんが心配しているよ。悪い奴に捕まっていたお母さんも保護されて病院にいるよ。お兄さんも安全な所にいるよ」


「……お前はさっきから何を」

 

「おばあさんとおじいさんの家にいる猫のモモちゃんは外に出て迷っても自分で帰ってくるの。おばあさんとおじいさんはモモちゃんが心配で私に捜して欲しいって何度も……」


「だから何を……」


「鈴木さんと私が初めて会ったのはいつなんだろうね」


「……は?」


「叔父さんはね……おばあさんとおじいさんに会いに来た鈴木さんを何度か見かけていたんだって。私達もどこかで会っていたかもしれないよね」


 もしかしたら何度もすれ違っていたかもしれない……

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