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襲撃なんて物語の中だけじゃないの?(1)

「そうか。お前は葵様に会った事がなかったか。ああ。毎日穏やかに過ごしてるから大丈夫だ」


 お兄ちゃんが教えてくれたけど……

 毎日穏やか……か。

 痛い実験とかはされていないみたいだね。


「そう……よかった」


「……毎日、お前と探偵の心配をしてる」


「ママが私と叔父さんを? ……そう……ママに伝えて? 私も叔父さんも元気に過ごしているから安心してねって」


「……分かった」


 お兄ちゃんは悪い人じゃなさそうだ。

 ママをすごく大切に想ってくれているみたいだし。

 うーん……

 ほんの少しだけママに近づけたような気がするかも……


 そういえば鈴木さんが行方不明なんだよね?

 鈴木さんに会って、本当に覚醒に失敗したのかを確認したいんだけど……

 どうやったら鈴木さんに会えるんだろう?


 

 今日は畳屋のおじいちゃんの家に泊まる事になった。

 皆でゆっくり駅前のお店に向かっている。

 おじさんは用事があるからと言って、私が貸していたお金を返すと先に帰った。

 武器屋に行くって言っていたよね?


 歩いていると途中から見た事がない三十代くらいの男性が合流した。

 おじいちゃんに軽く会釈をしたからおじいちゃんを見守っている人なのかな?

 

 不思議だな。

 私は全然知らなかったけど、いつもこの人達に守られていたんだ。

 でも叔父さんを見守っている人はいないのかな?

 合流しないだけでどこかから見ているのかな?

 うーん?

 でも……

 すごく安心する。

 狩野さんは『見守る者はボディーガードだ』って言っていたし、きっと皆すごく強いんだろうな……



 なんて思った一分後___


 私達は今、襲撃されている……

 叔父さんとお兄ちゃんとおじいちゃんを見守る者が襲撃犯と揉み合っている姿が見える。

 私は腰が抜けたおじいちゃんを支えながら道の端に歩いている。

 よし。

 なんとか電柱の陰に移動できた……

 

「おじいちゃん……大丈夫? 腰が痛い?」


「大丈夫だよ……驚いたら腰が抜けて……真葵ちゃんだけでも逃げるんだ……」


「おじいちゃんを置いて逃げられないよ……」


 あれ?

 すごい勢いで車が走ってきている?

 え?

 私とおじいちゃんの方に向かってきているような……


「なんだ? 埼玉ナンバーだね……真葵ちゃん……早く逃げるんだ……」


「埼玉ナンバー? まさか……鈴木さん? そんなはずないよね……」


 目の前に車が停まって窓が開く。


「え!? 鈴木さん!?」


 本当に鈴木さんだ……

 色白で華奢でかわいい……

 フワフワに巻かれた茶色い髪が風に揺れている。

 って、そうじゃなくて……

 覚醒に失敗したんだよね?

 大丈夫なの?


「小田さん! 乗ってください!」


 慌てた様子で話しかけてきたけど……

 このまま乗ったら連れ去られるやつだよね?


「えっと……」


 どうしたら……

 とりあえず車から降りてもらって逃げられないように捕まえるとか? 


「早く! 襲撃している奴らに捕まったら人体実験されますよ!?」


「……鈴木さん」

 

 これが演技なんて信じられないよ。

 でも、車の中から何かが腐った匂いがする。

 本当に身体の中に駿河の何かが入って覚醒に失敗したの?

 

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