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寝た振りっていつ起きればいいか分からないよね(5)

「そっちのハリネズミは二年くらい前から真葵を見守ってる奴だな」


 叔父さんがおじさんの相棒に話しかけたみたいだ。

 ハリネズミか……

 どんな感じなんだろう。

 薄目を開けて見てみようかな?

 うーん……

 ここからじゃ何も見えないや。


「ハリネズミ? あはは。確かにツンツンした髪型だよね。一真は二年前から気づいていたんだね。これからは、もっと見守る者を増員するよ。……あの女の子が行方不明らしい」


 おじさん?

 今、鈴木さんが行方不明って言ったの?


「あの女の子? 鈴木の事か?」


「母親は保護されて病院に送られたらしい。でもあの女の子は自分の意思で行方不明になっている……もしかしたら……ピヨたんが狙われている……かもしれない」


「まだお前はピヨピヨ言ってるのか……それより、真葵が狙われている……?」


「本当に狙われているかは分からないけどね。でもあの女の子は覚醒に失敗したようだし……なぜかピヨたんに興味を示しているみたいなんだ」


「……真葵に?」


 鈴木さんが私に会いに来る?

 見守る者が増員されるのにどうやって?

 でも、もし鈴木さんが会いに来てくれたらもう一度話ができるよね。

 鈴木さんを騙していた団体が消されたならこれ以上訳の分からない治療もされないだろうし。

 助けられるチャンスじゃないかな?


「ん? 真葵? 起きてるのか?」


 しまった。

 叔父さんにばれちゃった。

 今目覚めた振りをしないと怒られちゃうかも。


「……うん。身体がだいぶ楽になったよ」


 ずっと話を聞いていた事をばれないようにしないと……


「そうか。まったく……熱中症には気をつけろよ?」


「うん……」


 よかった。

 なんとかごまかせたね。


「はぁ……」


 あ……

 大きいため息をつかれた。

 しっかりばれていたんだね。

 あれ?

 おじいちゃんはまだ来ていなかったんだね。


「ピヨたん。さっき話したよね。この子がおじさんと一緒にピヨたんを守っていたもう一人の駿河だよ?」


 確かヒョロヒョロでツクツクで口が悪いんだよね?

 おお!

 確かに痩せていて、短い髪がツクツク立っている。

 叔父さんが言っていた通りハリネズミみたいだ。

 私より四歳年上なんだよね。

 でも、かなり嫌そうに私を見ている。

 そういえばさっき私の世話係にはなりたくないって言っていたような。

 覚醒者の中には見守る者を下に見て、いいように使う人もいるのかな?


「いつも見守ってくれてありがとう」


 お礼はちゃんと言わないとね。


「……別に仕事だからな」


 かなり警戒しているみたいだ。


「駿河さんって呼ぶとおじさんと区別がつかないから『お兄ちゃん』って呼ぶね?」


「はあ!? お兄ちゃんだあ!?」


「うん。だってこれから増員される見守る者の中にも駿河さんがいるかもしれないし」


「俺が『お兄ちゃん』……葵様に話したら笑われそうだ。葵様はいつも俺を赤ちゃん扱いするから……」


「ママ? ママに話すの? ママは元気なの?」


 会った事はないけど……

 ママは私を大切に想ってくれているみたいなんだよね。

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