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寝た振りっていつ起きればいいか分からないよね(4)

「狩野が率いる暗殺部隊は見守る者よりも強い。簡単に団体をひとつ消し去るくらいだからな」


 叔父さんが怖い事を普通に話している……


「まさか狩野さんが繋ぐ者だったなんて」


 おじさんのこの感じ……

 繋ぐ者は本当に怖い存在みたいだ。


「繋ぐ者は、やり方が上手い。関係者の生活に自然に入り込む……よほどの事がない限り誰も繋ぐ者だとは気づかないだろう」


「……まさか繋ぐ者を見られるなんて思いもしなかったよ」


「鈴木を騙していた団体は跡形もなく消されただろう。狩野は繋ぐ者の中でも特に冷酷だからな」


「あの狩野さんが……そんな風には見えなかったけど」


「人を見かけで判断するなよ。それから、狩野にも気をつけろ」


「え? 狩野さんにも?」


「真葵は葵の娘だ。覚醒者の子供なんて聞いた事がない。無理矢理覚醒させようとしているかもしれない」


 叔父さんは自分が駿河の末裔だっていう事は話さないんだね。


「ピヨたんを無理矢理覚醒させる? そんな……」 


「……繋ぐ者は味方のようにも見えるが、それは違う。実際鈴木がバーに来た時に偽真葵に妙な事をさせていたしな。お前も駿河なら分かるだろ?」


「駿河様を作り出す為に動くのが繋ぐ者……」


「まったく……そんな幻想のせいで大勢が巻き込まれて不幸になった」


「幻想……か」


「お前は遥か昔に死んだ駿河が蘇るとでも思ってるのか?」


「……クローンとしてではなく、すでに生まれている人に治療をして駿河様を作り出そうとするのはどうしてなんだろう」


「偉い奴の考えは俺には分からない」


「もしも駿河様が……本当に蘇ったらどうなるんだろうね」


「偉い奴らは他国よりも上に立つ為に駿河を使いたいんだろ」


「駿河様がいいように利用されるって事?」


「駿河が大人しく利用されると思うか?」


「え?」


「逆に偉い奴らを利用して『王』になろうとするんじゃないか?」


「王?」


「日本だけじゃない。全世界の王だ。お前らは駿河の里出身だからすでに駿河を『王』のように崇めてるんだろ?」


「……王……か。……俺には……分からないよ」


「お前は駿河に蘇って欲しいと思ってるのか?」


「……里の皆の願いだからね」


「駿河を守る為に存在する『駿河の里』……か」


「遥か昔、駿河様に忠誠を誓った里だからね」


「駿河が死んで百七十年経ってるのに忠誠? 里では時間が止まってるみたいだな」


「はは。一真が想像してる日本昔話みたいな『里』とは違うよ。ちゃんと現代の『里』だよ」


「心の話をしてるんだ」


「心? うーん。俺達は駿河様を守る為に日々鍛錬してきたからね。よそから見たら変に見えるかもしれないけど、これが当たり前なんだよ」


「住む場所や立場によって考えが変わるのは当然……か」


「はは。そうだね」


 立場によって見える世界が違う……か。

 その通りかもしれないね。

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