表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/51

鈴木さんは全てを知っている?

「(そして母親は生き残った)」


 鈴木さんは淡々と話しているけど……

『奴ら』が『彼女』の利用価値がなくなったと判断した……?


「(『奴ら』が『彼女』じゃなくて『母親』を生かしたっていう事?)」


「(実際何が起きているのかは分かりませんが……囚われている彼女の『家族』が言う事を聞かなくなったから、切り札のひとつを消した。また同じ事をしたら次は母親を消すぞ……という圧をかけた。もしくは……母親側の『彼ら』が身勝手な彼女を邪魔に思い消したか……彼女は母親を見下し日常的に暴力を……)」


「(母親側の『奴ら』?)」


「『彼ら』は一人の切り札を数人の交代制で守っているようです)」


「(交代制で? 囚われている人達は何をさせられているの?)」


「(……彼女の兄が何をさせられているのかは分かりませんが……私の兄はホワイトハッカーでした)」


「(ホワイトハッカー?)」


「(それだけではありませんが。……私が木村次郎の娘だと話しましたよね?)」


「(うん)」


「(この前の病院の話を覚えていますか?)」


「(確か……木村次郎が浮気をしていた現場を見ていた患者がいて、今までの病院に通えなくなって……他の病院を探したんだよね?)」


「(最近分かったのですが……その浮気現場を見た女性はこちら側の人間だったんです)」


「(こちら側?)」


「(簡単に言えば『彼ら』に拐われた者の家族……または、その家族の協力者……ですかね?)」


「(それが、こちら側の人間?)」


「(ですが私達自身、誰がこちら側の人間かそうではないのかは分からないんです)」


「(それって……)」


「(こちら側の人間だと嘘を言う『彼ら』の場合もあるかもしれません)」


「(そんな……)」


「(私の周りにいる『彼ら』は接触してきません)」


「(そうなの?)」


「(『彼ら』の中にも派閥のような物があるのかもしれませんね)」


「(派閥?)」


「(私の周りにいる『彼ら』と、彼女の周りにいた『彼ら』は明らかにやり方が違いましたから)」


「(やり方が違う?)」


「(話を戻しましょう。兄は赤ちゃんの頃から通っていた病院で何か普通ではない治療をされていたようでした)」


「(普通ではない治療?)」


「(そのせいで身体が弱かったようです)」


「(それって?)」


「(詳しくは分かりません。ですが、あの時病院を変えていなければ兄は死んでいたかもしれません)」


「(え?)」


「(新しく見つけた病院では手に負えず、大学病院に緊急入院した兄の身体から未知の物質が……)」


「(未知の物質?)」


「(それを知ったこちら側の人間の医師が兄を自身の病院に連れていき治療をすると、少しずつ回復していきました)」


「(じゃあ『木村次郎が浮気していた』と言った女性はお兄さんを助ける為に病院を変えさせたの?)」


「(母親はその頃『彼ら』の存在を知らなかったんです。こちら側の人間の病院で全てを知らされたようでした)」


「(全てを? 鈴木さんは全てを知っているの?)」


「(だいたいの事は知っているはずですが……兄達が囚われている環境については何も知りません)」


「(教えてくれないかな? 私は何も知らなくて……)」


「(わたしが小田さんを訪ねた時からそのつもりでした)」


「(……え?)」

 

「(小田さんはかなり強い切り札のようですから)」


「(かなり強い切り札?)」


「(私と同じです)」


「(鈴木さんと同じ?)」


「(兄に何かをさせる為に私と母は生かされ、小田さんのお母様に何かをさせる為に小田さんと叔父様は生かされている)」


「(……あ、木村次郎の奥さん……鈴木さんのお母さんは……)」


「(母は意識不明という事になっていますが、兄を治療した医師の元に隠れています)」


「(じゃあ無事だったんだね)」 


「(はい。父を絞殺したのは『彼ら』の内の一人です。父は母が家を出ようとすると鈍器で頭を殴って……それを見ていた『彼ら』の一人が父を絞殺したんです)」


「(そうだったんだね)」


 鈴木さんは自分の父親が絞殺されたのに冷静だ。

 ずっと表情も変わらないし……


「(あの時は真実を言えずに申し訳ありませんでした)」


「(そんな……謝らないで。でもあの時……かなり慌てていたみたいだけど)」


「(実はあのSNSは母がしていたものではなかったんです)」


「(え? どういう事?)」


「(何者かが母の振りをしてやっていた。ですが内容は全て事実でした)」


「(それって……?)」


「(分かりません。私達家族を常に見ている……という警告だったのかもしれません。私と母を見張っている『彼ら』とは別の誰か……だとは思いますが。母は意識不明という事になっているのに突然鍵が外れたので驚いて……この件は母を保護している方達が動いています)」


 普段の生活が誰かに全部見られているっていう事?

 それに『母を保護している方達』?

 かなり大きい組織なのかも。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ