叔父さんから語られた話は真実? (4)
「そのようだな……だが正規の施設ならそれほど酷い目には遭わないだろう。問題は勝手に『見張る者』を作り出した非公認の団体だ」
叔父さんが険しい表情で話しているけど……
「鈴木さんに薬を使っているかもしれない『奴ら』の事?」
「そうだ。駿河が施設長に連絡したからな……すぐに鈴木兄のいる施設長が動き出すだろう。まぁ何があったのか見当はつくがな」
「え?」
「鈴木母と鈴木を騙している団体の『奴ら』が『正規の見守る者』を懐柔して、施設長に嘘の報告をさせていたんだろう」
「そんな……ちゃんとした施設なんだよね?」
「ちゃんとした施設に勤める奴だって人間だ。弱味を握られたり金をちらつかせれば言う事を聞く奴もいるだろう」
「鈴木さんを騙している団体は酷い事を平気でしているみたいだし……それくらい簡単にやっちゃうよね」
「今日中にもその団体は消されるだろう」
「……え?」
「一人残らずな……」
「……狩野さんは?」
「狩野?」
「狩野さんは……その施設の『奴ら』だったみたいなの……」
「は? 誰がそんな事を?」
「さっきおじさんと話してそういう結論に……」
「……はぁ。まったく……お前もバカだが駿河もバカだな」
「……え?」
「狩野は確かに『奴ら』側ではある。だが非公認団体には所属していない」
「それって……」
「『正規の見守る者』と駿河を復活させたい『偉い奴』を繋ぐ役割をする機関がある。狩野はそこの奴だ」
「え? どういう事?」
「そういう事だ」
「いや、分からないんだけど……」
「勝手に狩野を疑った罰だ。自分の良過ぎる頭で考えろ」
「うぅ……あ、そうだ。狩野さんが埼玉に付いてきてくれたの」
「は?」
「私がおじさんから逃げようとしたら『ダメだよ』って」
「はあ!?」
「叔父さんが寝ている狩野さんを起こして、私の事が心配だから付いていけって言ったって」
「はああ!?」
「……怒ってるの?」
「このバカ!!」
うぅ……
そんな大声を出さなくても……
「……ごめんなさい」
「何に対しての『ごめんなさい』だ?」
「おじさんは私を守ってくれる人なのに逃げようとした事……あとは狩野さんを疑った事……」
「……分かればいい」
「もう怒ってない?」
「何も説明せずに埼玉に行かせた俺も悪いしな……」
「叔父さん……」
「それで狩野は?」
「せっかく埼玉に来たから武器屋に行くって。武器屋の意味は叔父さんに訊けって言われたよ?」
「武器屋……か。やれやれ。鈴木を騙した『奴ら』は一番敵に回したらダメな奴を怒らせたな」
「え? どういう事?」
「今頃鈴木を騙した『奴ら』は全滅してるって意味だ」
「武器屋は情報屋なんだよね?」
「『奴ら』の武器屋はそうだが、狩野が所属している繋ぐ者の言う武器屋は『暗殺部隊』だ」
「暗殺部隊……そんなものが実在するの?」
「実在するんだろ? だから狩野がいる」
「狩野さんは暗殺部隊なの?」
「……いや。狩野は施設や偉い奴や暗殺部隊を繋ぐ者だな」
「それってかなり偉いんじゃ……」
「そうだろうな」
バーにいる優しい姿しか知らないから想像できないよ。