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鈴木さんの二つの人格?

「元の優しい鈴木さんと、全く違う鈴木さん。今、鈴木さんの中にはその二つの人格が存在していると思うの」


 ずっとあった違和感……

 その理由はこれだと思うんだ。


「真理ちゃんは……覚醒に失敗したのか? 一か月前に遊びに来てくれた時はいつもの真理ちゃんだったのに」


 鈴木さんのおじいさんが辛そうに尋ねてきた。


「……鈴木さんから腐ったような匂いがしたの。一か月前に会った時にはその匂いはしなかった」


「……俺は孫の苦しみに気づけなかったのか。大切な孫を……また奪われるのか……?」


「鈴木さんは私に『助けて』って言ったの。ずっと怖いくらい冷静に話している途中で……時々、表情を変えて苦しそうにしていて。それが本当の鈴木さんなんだと思う」


「苦しそうに? 早く助け出さないと!」


 おじいさんが立ち上がった。

 かなり興奮している……

 

「待ってください……」


 ずっと黙って話を聞いていたおじさんが口を開いた。


「おじさん?」


「この鈴木さんの件は我々が解決しなければいけない問題です。真実かは分からない……でも……保護対象者……そしてピックアップされた人を守るのは我々の役割です」


 おじさんがゆっくり話を続ける。


「あの女の子が幼い頃、兄と治療を受けていたのかは分からない。でも治療を受けていなかったとしても保護対象者として守らなければいけない。それが我々の役割……あの女の子の兄が保護されている施設は、かなりしっかりしています。こんなミスはあり得ない……」


「おじさん……鈴木さんを救い出せる?」


「それはおじさんの役割じゃないんだよ。所属している施設が違うんだ……でも、この件を女の子の兄が保護されている施設長に知らせれば必ず動き出す」


「少しでも……一秒でも早く救出しないと……」


「そうだね。少しでも早い方がいい。おじさんが所属している施設長に今から電話するよ。一真かずま……ここで電話をしてもいいかな?」

 

 一真?

 おじさんは叔父さんの名前を知っているの?

 

「ああ。好きにしろ……」


 やっぱり二人は知り合いみたいだ。

 あ……

 鈴木さんのおじいさんとおばあさんが電話が終わるのを心配そうに待っている。

 大丈夫かな?

 かなり辛そうだけど……


「真葵……奥の部屋で少し話そう」


 叔父さんが話しかけてきた。

 真剣な表情だ。

 いつもと全然違う……

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