おじさんがいい人過ぎて心配になる
「叔父さんが無事かどうかを武器屋に確認しに行った時にママは拐われたの?」
おじさんはママから聞いて色々知っているみたいだ。
私のママはどんな人なんだろう……
「君のママはそう話していたよ」
「ママは……悪い人に拐われて……どうなったの?」
「すぐにおじさん達が助けたから大丈夫だよ」
「そうだったんだね。……ありがとう」
「すぐに君を施設に連れて来たかったんだけどね……ダメだったんだ」
「私が保護対象者だから?」
「うーん……それは……おじさんには分からないんだ。施設長からダメだと言われてね……」
おじさんにも分からないんだね。
さっき覚醒前の人は施設に連れて来て保護できないって言っていたよね?
あれ?
保護対象者ならいいのかな?
「おじさん……保護対象者は施設に連れて行って保護していいの?」
「……いや、施設にはダメなんだ。例えば病院に入院させたりとか……そんな風に保護したりはできるよ」
「じゃあ私はパパが保護してくれたの?」
「……そうだね。でも……あの女の子は探偵が君の父親だと……あ、いや……」
「気を遣わないで。私は大丈夫だから」
「大丈夫……?」
「パパはいつも優しくて朝寝坊ばかりして……朝御飯の目玉焼きは毎日焦げていて……でも……私が小学生になって目玉焼きを作れるようになったら……泣いて喜んでくれたの」
「……そう」
「真葵はすっかりお姉さんになって……って。……パパは私のパパだよ。たとえ仕事で私の『父親』をしていたんだとしても……私のパパは……パパだから。生きていてくれてよかった。本当によかった……」
「そう……だね……」
「叔父さんは、私がパパを喪って苦しんでいた時も……自分が実の父親だとは言わなかった。きっと何か理由があるんだよね。名乗れない理由が……」
「叔父さんが……父親で嬉しい?」
「叔父さんは……だらしなくて……わがままで……仕事もしなくて……でも……私を大切に育ててくれたパパには……本当に申し訳ないけど……叔父さんの事が大好きなの」
「そうか……そうだね……一番辛い時に支えてくれた大切な人……だよね」
「今から叔父さんにぶつかってくるよ」
「そうだね。君と探偵の絆は深い。全部話して心のモヤモヤを晴らしておいで。その前に探偵事務所の中に不審者がいないか確認しないとね」
「……うん。でも、おじさんは危なくないの?」
「ははは。おじさんは今でこそぽっちゃりさんだけど昔は痩せていてモテモテだったんだよ」
「え? モテモテだと危なくないの?」
「……え? あ……確かに……でも本当にモテモテ……」
「やっぱりおじさんが心配だよ。叔父さんに電話して探偵事務所の中にいるか訊いてみるよ」
「……え? あ……そうだね。その方が早いね……」
「おじさん……お願いだから私の為に怪我をしないでね?」
「うぅ……おじさんは本当に強いんだよ……」
おじさんが悲しそうに呟いたけど……
こんなに優しいおじさんが強いなんて信じられないよ。