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鈴木さんは本当に鈴木さんだった

「着いた……埼玉に……」


 叔父さんと畳屋のおじいちゃんに言われて埼玉まで来たけど……

 携帯電話を使わずに鈴木さんの家まで行けって言っていたよね。

 これでも一応探偵だから住所さえ分かれば道に迷う事はないけど。

 叔父さんの話だと携帯電話の中身は『奴ら』? に筒抜けらしい。

 でも、今まで誰かに追われているなんて感じた事がないし……

 叔父さんとおじいちゃんの勘違いとか思い込みとか……

 そんな事はないのかな?


『奴ら』がパパとママを拐って、木村次郎と奥さんを酷い目に遭わせた?

『こちら側の人間』?

 私のママが利用価値が高い?


 ……うーん。

 意味が分からないよ。

 ママの利用価値がなくなったら叔父さんが消されて……

 なんだっけ?

 パパが生きていれば私は生きられる?

 

「はぁ……」


 頭がグルグル回ってはいるのに、深くは考えられない。

 警察でさえ見つけられなかったパパが生きている?

 パパが……

 生きているかもしれない。


「あ……」


 住所はここだ。

 って……


「ええっ!?」


 表札は『鈴木』。

 間違いない……けど……


 立派な門……

 家が見えないくらい高い門だ。

 門の端に聞いた事があるセキュリティ会社のシールがいち、に、さん……

 こんなにいっぱいシールが貼ってある家を初めて見た。

 しかも『猛犬注意』のシールまで? 

 巨大犬がいるの?

 首輪にとげみたいなのが付いたドーベルマンとか?

 ピンポンしたら襲いかかってこないよね…… 


 こうしている姿も『奴ら』は見ているのかな?

 うぅ……

 怖いけど……

 インターホンを押すよ!

 ドキドキする……

 家にいるかな?


『……え? 小田さん? ですよね?』


 インターホンから鈴木さんの声が聞こえてきた。

 よかった。

 生きていたんだね。

 

「あ……うん。えっと……突然ごめんね」


『少し待ってください。今行きます』


 ……猛犬は一緒に来ないで欲しいな。


 門がゆっくり開くと……

 うわぁ……

 鈴木さんは今日も華奢でかわいい……


「鈴木さん……突然ごめんね」


「小田さん? どうして……」


 門の外をキョロキョロ見ている?

 鈴木さんも見張られている事を知っているの?


「……叔父さんから鈴木さんに会って来いって言われて」


「あ……トレンチコートの?」


「……うん」


「とりあえず、外で話しませんか?」


「え? 外で?」


「家の中で話したら『彼ら』が内容を気にするはずですから」


「『彼ら』?」


 叔父さんが『奴ら』って言っていた人の事?


 門を閉めると、鈴木さんがゆっくり歩き始める。


「小田さんは、どこまで知ったんですか?」


「どこまで……?」


「あの時の様子だと何も知らなかったんですよね?」


「……さっき叔父さんから『奴ら』? の事を初めて聞いたの。でも……」


「詳しくは聞いていないんですね。とりあえず私に会って来いと言われたんですか?」

 

「……うん」


「……すぐ近くの公園の木陰にでも行きますか」


「あ……うん」


「小田さんは……何か知りたい事があるんですか?」


「え? あぁ……何を知りたいのかすら分からないの」


「……何も聞かされずにここまで一人で来たんですか?」

 

「……うん」


「……小田さんが『叔父さん』と呼んでいたあの探偵さんは……死期を悟ったのかもしれませんね。バーの派手な女性は叔父様に近いこちら側の人間……そしてバーに後から来た素敵な男性が……叔父様の本当の姿。大きなトレンチコートとハットは周りを欺く為のアイテム……探偵事務所で叔父様を見た時、バーの男性と同一人物だと気づくまで時間がかかりました。バーではもっと……そう。ダンディでした」


 あの叔父さんがダンディ!?

 鈴木さんは目が悪いのかな?

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