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隠しきれない気持ちと鈍感過ぎる真葵(2)

「真葵にだけ買って真理の分がなかったら……」


 お兄ちゃんが言葉を詰まらせた?

 どうしたのかな?


「……お兄ちゃん?」


「真理は絶対に真葵のアイスを『あーん』してもらうだろ!?」


「……? そうだね」


 怒っているみたいだけど……

 何に怒っているのかな?


「真理は甘えん坊だからっ!」


「……? そうだね」


「真理は女だけど男だからっ!」


「……? そうなの?」


 確かに真理ちゃんの一人称は『俺』だけど。


「ンニャッ(小僧。袋の中におやつがあるな?)」


 あれ?

 モモちゃんがお兄ちゃんに擦り寄っている?

 しかもお兄ちゃんを『小僧』って呼んでいるね。


「あ! モモちゃんっ! (ほら、おやつだよ。CMでやってる新発売のやつ)」


 お兄ちゃんが、あり得ないほど鼻の下を伸ばしながらモモちゃんを撫でている……

 でも小声なのはどうしてだろう。


「ンニャニャッ(これからも毎日おやつを持ってこい)」


「えへへ。かわいい声……モモちゃんはかわいいなぁ。(あ、真葵。一真さんには内緒だぞ?)」


 叔父さんには内緒?

 今は、こたつで寝ているけど……


「どうして?」


「(一真さんは独占欲が強いんだ。俺がモモちゃんにおやつをあげて擦り寄られてる姿を見られてみろ……俺に明日は来ない……)」


「……? そうなの?」


「(モモちゃん、一真さんから見えないように部屋の隅で食べような。他の部屋は寒いからモモちゃんのかわいいあんよが冷たくなったら大変だし)あ! 食べた! モモちゃんおいちいかなぁ?」


 赤ちゃんに話しかけるみたいな口調だね……


「ンニャンニャンニャ(うーん。テレビの猫は旨そうに食べてたが……高貴な俺の口には合わないな……モグモグ……)」


 うわ……

 お兄ちゃんが命がけであげているおやつが口に合わないなんて……

 でも、残さずしっかり食べているね。


「うわあぁ! いっぱい食べてかわいいっ! また買ってくるからっ!」


「ンニャッ! (明日は違う味にしろ!)」


「そうかそうか……そんなに嬉しいか……あぁ……モモちゃんはかわいいなぁ」 


 ……知らないって幸せだね。



『日本中の猫ちゃんが夢中になるおいしさ……新食感のフードをぜひ……』


 あ……

 テレビでキャットフードのCMが流れ始めた。


「ンニャッ!? (新食感!?)」


 うわ……

 モモちゃんが釘付けになっている。

 

「ンニャニャッ! (小僧! 明日はこれだ! これを持ってこい!)」


 お兄ちゃんの膝に擦り寄ってウニャウニャ言っている。

 威張っているけどお兄ちゃんにはかわいい鳴き声にしか聞こえないんだろうな……


「ん? モモちゃん? 今のフードが食べたいのか? あぁ……かわいい……次はあれを買ってくるか……」


「ンニャッ! (今すぐでもいいぞ!)」


 ゴロゴロ喉を鳴らすモモちゃんを立ったまま抱っこしているお兄ちゃんが、じっと私を見つめている?

 まさかお兄ちゃんも心の声が聞こえるようになったの?

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