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鈴木さんは騙されているの?

「痛みすら感じない?」


 鈴木さんが?


「感情もなく痛みも感じなくなった人は……ある意味無敵だよ」


 おじさんが何かを思い出しているみたいに話している?


「ある意味無敵?」


「君は叔父さんが泣いていたら悲しいし……転んだら痛いって思うだろう?」


「……うん」


「あの女の子もそうだったはずだよ。でも今は違うかもしれない。『大切な人が泣いていたら隣にいてあげたい……転んだら痛いから転ばないように気をつけよう』そう思えなくなったらどんどん悪い方に進んでいくんだ」


「それって……?」


「おじさんが今とは違う場所にいた時にね……見たんだよ。腕が折れて身体中血まみれなのに痛みを感じずまだ暴れ続ける化け物……いや違うね。被害者だ……」


「もしかして……覚醒に失敗した人? ……鈴木さんもそうなるの?」


「……覚醒に成功するか失敗するか……または今まで通りずっと普通に過ごせるかは誰にも分からないんだ」


「まだ鈴木さんは覚醒に成功するかもしれないの?」


「……いや。もうダメだろうね」


「そんな……」


「酷い話だよ。勝手にピックアップして治療して……失敗したら消されて……人らしくは死ねないんだ」


「……どうしてそんな酷い事をするの?」


「うーん……さっきも話したけどおじさんは雇われているだけなんだ。……でも……」


「でも……?」


「その治療の薬? 注射? の中にずっと前に亡くなった『偉大な誰か』の何かが入っているとか……いないとか……」


「何? それ……」


「ちらっと聞いただけだからおじさんにはそこまでしか分からないんだよ。ごめんね」


「……今からでも鈴木さんを助けられないかな? そうだ! 鈴木さんのお母さんは何か大きな組織に守られているらしいの。その人達なら鈴木さんを助けられるかも。お医者さんもいるらしいし」


「……? あの女の子の母親はその組織に守られているの?」


「うん。保護されているんだって」


「……変だな」


「……え? 何が?」


「おじさん達には決まりがあるんだ。確かあの女の子の母親はピックアップされた人……覚醒していない母親を保護してはいけないんだよ?」


「……え? じゃあ……鈴木さんのお母さんは誰に保護されているの?」


「あぁ……きっと騙されたんだ」


「騙された?」


「正規の保護施設……君のママやあの女の子のお兄さんが保護されているような場所だね。それ以外にも非公認の施設や団体があるんだ」


「それって……?」


「うーん。覚醒者を拐って人体実験したりする……さっき話した人達だよ」


「じゃあ、おじさんはそういう非公認の団体から私を守っているの?」


「うーん。でも実験は正規の保護施設でもされている場所もあるから……保護された場所によってそれからの人生が大きく変わっちゃうんだよ」


「……そんな」


「ごめんね。何を話したらいいか話さない方がいいかが難しくて……分かりにくいよね?」


「ううん。でも……大体の事が……分かった気がする」


「そう……あ、そうだ。バーの狩野さんは……たぶんもう帰ってこないよ」


「え? どうして?」


「おじさんの考えが合っていれば狩野さんは女の子の母親が保護されている団体の人だよ」


「狩野さんが?」


「あの女の子は知り過ぎている……たぶん団体にいいように使われているんだ」


「そんな……」


 鈴木さんは大丈夫なのかな?

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