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鈴木さんも薬を使われていたの?

「……覚醒に失敗? じゃあ鈴木さんもお兄さんと一緒に薬を使われていたの?」


 鈴木さんは、そんな事は一言も……


「あの女の子は自分の話はほとんどしていないんじゃないかな?」


「……え?」


 確かに……

 おじさんの言う通りだ。


「いつも自分以外の人の話ばかりしている。違う? 覚醒に失敗するとだんだん自分の記憶が消えていくんだ」


「……確かお兄さんからの手紙に『今からでも大学に行って欲しい』みたいな事が書いてあったって聞いたけど……あの豪邸もお兄さんが『奴ら』に頼んで土地探しからやってもらったって……」

 

「……その辺りはおじさんの方で調べてみるよ。君はあの女の子から聞いた事を全部探偵に話すんだ。そして『あの女の子の事はおじさんの仲間が調べるから任せて欲しいと言っていた』と伝えて? 『麦わら帽子にポロシャツ短パンのおじさんが言っていた』って」


「叔父さんは誰の事も信じるなって言っていたよ? それなのに、おじさんの事を信じてくれるのかな?」


「……大丈夫だよ」


「……大丈夫……なの? どうして?」


「探偵がおじさんに君を任せてくれたから……かな?」


「……え?」


「その辺りは君が探偵から聞きたいと言った事に関係するから……おじさんからは話せないよ……」


「そうなんだね……叔父さんは、私がおじさんから逃げるんじゃないかって心配してバーの狩野さんを埼玉に来させたの」


「……え? 探偵が?」


「うん。さっき公園でおじさんから走って逃げた時に『おじさんは私を守ってくれるボディーガードだからこんな事をしたらダメだよ』って狩野さんに言われたの」


「……狩野さん? バーの? あの長髪の男性だよね?」


「うん。そうだよ」


「……狩野さんとは結構会ったりするの?」


「うーん。あまり会わないよ? 二度バーにお酒を飲みに行って……あとは……今朝畳屋のおじいちゃんと話しているのを見て……それからさっき公園で……」


「お酒を飲んだの? 狩野さんのバーで? その時探偵は? 一緒だったの?」


「一度目は叔父さんも一緒で二度目は私一人だったよ?」


「……そのお酒を飲んで変な味がしたりとかフラフラしたりはしなかった?」


「……え? しなかったよ?」


「酷い頭痛とか、頭の中で誰かが叫んだりとか……」


「頭の中で? ないけど……」


「狩野さんは畳屋でおじいさんと何を話していたの? おじさんは走る君に追いつけなくて何も知らないんだ」


「えっと……叔父さんが秘密を知ったからやる……とか? 私、やるをると勘違いして木刀とヘルメットで武装して乗り込んだの」


「それで、今朝鬼の形相で畳屋に乗り込んだんだね……」


「鬼の形相!? ……叔父さんにも通報されてもおかしくない顔だったって言われたよ」


「……畳屋のおじいさん……か。あのおじいさんは完全に君の味方だから大丈夫……か」


「……え? おじいちゃんが完全に私の味方?」


「あぁ……それも探偵から聞いてね。それから……狩野さんだけどね……」


「狩野さん? 狩野さんもこちら側の人間なんだよね?」


「探偵から聞いたの?」


「ううん。畳屋のおじいちゃんだよ?」


「……探偵は何て?」


「叔父さん? 私を助けに行ってくれって頼んだくらいだから……信頼しているんじゃないかな? あ……でも、鈴木さんと派手な女性と叔父さんがバーで会っていた事を狩野さんから聞いたって話したら『どうしてそんな事を』みたいに言っていたような……」


「……家に帰ったら本当に探偵が狩野さんを埼玉に来させたのか尋ねるんだ」


「……え?」


「……もし狩野さんが、君を見張る者だとしたら危険だ」


「狩野さんが『奴ら』っていう事? でも見守る者とは違うの?」


「うーん……おじさんにも誰がおじさん側か、保護対象者なのかは分からないんだよ。実際、保護対象者だと言って近づいてくるおじさん側の人もいるからね」


「こちら側の人間だって言って近づいてくる『奴ら』?」


 味方の振りをして近づいてくる悪い人っていう事?

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