パパとおじいちゃんとの秘密の話? (4)
「一真は真葵ちゃんの存在を知らずに施設から離れ探偵として過ごしていた。……真葵ちゃんは知らないだろうね。おじいちゃんは何度か真葵ちゃんに会いに行っていたんだよ」
おじいちゃんが私の瞳をしっかり見つめながら話している。
心を聞いているのかな?
「……私に会いに?」
「これでも忍びだからね。気づかれないようにしていたんだよ。真葵ちゃんの成長を見る事だけが唯一の楽しみだった。でも……四歳になった頃に会いに行くと……気づいたんだ。真葵ちゃんの瞳が今までとは違っていると……」
「……」
「そして……しばらくすると真葵ちゃんの瞳を見た繋ぐ者達が騒ぎ始めた」
「『完全体の駿河が現れた』って?」
「……おじいちゃんは……上位の繋ぐ者だけに全てを話した。そして真葵ちゃんを見守る為に今度こそ繋ぐ者を抜けさせて欲しいと頼んだ」
「……」
「でも……ダメだった。真葵ちゃんは完全体の駿河様……でも暴走が見られないから覚醒はしていないのかもしれない。これから本当の覚醒が始まる可能性がある……この状況では施設に入れる事はできなかった。施設に入れるのは覚醒した者だけ。決まりを破り施設に入れて、もし覚醒時に暴走したら……初めからある施設が破壊されてしまう。そうなればその施設にいる覚醒者も巻き込まれる事になる」
「完全体の駿河が暴走したら止められるか分からないんだね……」
「それに葵様を保護していた施設の建て替えにかなりの費用がかかってね……これ以上の支出は避けたかったのもあったんだ」
「駿河関係の費用はどこから出ているの? 保護された人はかなり贅沢な暮らしができるんだよね? 見守る者も高額支給されているって聞いたけど……」
「……埋蔵金……かな?」
「埋蔵金?」
「テレビで見た事があるかな? あの埋蔵金だよ」
「それを繋ぐ者が見つけたの?」
「……いや。初めから駿河の里に隠してある。でもそれも無限ではないからね」
初めから?
「駿河の死後百七十年で底をつきそうなの?」
「いや、まだまだ残っているよ。今は金が高騰しているからね。ただ埋蔵金を管理している者が口うるさいんだ」
「……そう」
「真葵ちゃんをパパとして守っていた駿河は強かった。それに、真叶様を保護している施設長の息子でもある。……信頼できる存在だった。だが、まさか葵様の弟だったとは……」
「施設長は罰を与えられるの?」
「……いや。上手く言い逃れをすれば大丈夫だ。決まりには抜け道があるものだからね」
抜け道……か。




