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おじさんはかわいい人?

「さてと……何か食べようかな? 二十分くらいここで休んでから駅に向かおう」


 おじさんに聞こえるように言ったから少しはのんびりさせてあげられるかな。

 結局朝から何も食べていないからお腹が空き過ぎた……

 おじさんもなんだろうな……

 

「うーん……炭酸飲料は絶対飲みたいよね。ツナマヨおにぎり? 牛丼もいいかも……あ、今だけ限定のキムチ鍋うどん! でもさすがにね……外は三十度超えだし……でも……美味しそう……これに焼き肉おにぎりを入れたら……あぁ……絶対美味しいよ……」 


「ゴクリ……」


 ……!?

 汗ビショのおじさんの喉からすごい音が聞こえてきた!?

 お腹が空いていたんだね。

 うわ……

 炭酸飲料と焼き肉おにぎりとキムチ鍋をカゴに入れた。

 あれ?

 レジで慌ててポケットをガサガサしているけど……

 財布を忘れちゃったのかな?

 あ、携帯電話を持ったね。

 キャッシュレス決済かな?

 あぁ……  

 残高不足みたいだね。

 もう……

 仕方ないな……


 私もキムチ鍋と焼き肉おにぎりと炭酸飲料にして……

 あと、溶けるチーズもね。


「店員さん、これも一緒にお願いします。イートインで」


 背後からの私の声におじさんがビクッとした……

 もしかして私に存在を気づかれたら偉い人に怒られちゃうのかな?

 おじさんが気まずそうにしているのが見て分かる。

 でも今はお腹が空き過ぎているからご飯が先だよ。

 お会計を済ませると二人分のキムチ鍋を温め始める。

 おじさんは私の背後でソワソワしている。


「おじさん……とりあえずそこのイートインスペースで食べよう?」


「あ……あぁ……」

 

「「……」」


 無言でキムチ鍋のうどんをすする。

 辛い……

 でもこの辛さでさらに箸が進む。

 よし、チーズの出番だよ。

 えへへ。

 五枚入りのチーズ……

 いつもは叔父さんに三枚取られちゃうけど全部入れちゃおうかな?


 ん?

 おじさんがチーズをじっと見つめている。

 もしかしてキムチ鍋に入れたいのかな?

 仕方ないね。

 一枚……

 いや、二枚分けてあげよう。

 三枚はあげないからね。


「……おじさんにも二枚あげるね」  


「え? いいのかい?」


「うん……さっきは走らせて……ごめんなさい……」


「……え? あ……いや……謝らないで……おじさんがどんな存在か知ったんだろう?」


「……ママを拐った人の仲間」


「……! やっぱり知ってしまったんだね。離れ過ぎてさっきの女の子との会話が何も聞こえなかったんだよ」


「……おじさんは……悪い人じゃなさそうなのに……どうしてママを拐ったの?」


「……! それは……おじさんも雇われているだけだからよくは分からないんだよ。君を一日おきに守るのが仕事で……」


「一日おきに守る?」


「あ……」


「もしかして話したら誰かに怒られちゃうの?」


「あぁ……君と一緒にいる探偵はもう気づいているから……今さら隠さなくてもいいのかな……」


「そうなの?」


「最終的に君を守ればいい決まりだからね」


「……ふぅん」


「……怒らないの?」


「……ママの記憶はないし……でも……パパの事は……」


「あぁ……」


「パパの事を知っているの?」


「……うーん。おじさんはね。ずっと前から君を見守っていたんだよ……だから……君のパパの事も知っていたよ」


「パパを……パパは? 今はどこにいるの!?」


 まさか……

 死……


「安心して……生きているみたいだよ」


「……みたい?」


「うーん……おじさんとは部署っていうか……働いている場所が違うんだよ」


「そうなの? ……パパはあの時酷く殴られていたから……」


「……そうだねぇ。あの時……君のパパは……連れ去られそうになっていた君を守ったんだよ」


「……! そんな……わたしのせいでパパは……」


「大丈夫だよ。すぐに助け出されたから」


「助け出された? 誰に?」


 今はどこにいるの?

 無事なの?

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