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狩野さんは頼れる大人の男性って感じだね

「『奴ら』の目を欺く為にこのトレンチコートとハットを全員で買ったんだ。知らない誰かがこれを着ている俺を見れば小田ちゃんだと思うだろう? 『奴ら』はこのトレンチコートを皆が持っている事を知っているから、数人で建物に入って誰か一人が出てきたら大慌てなんだ。簡単には誰だか識別できないからね」


 狩野さんの言う通りだ。

 でも……

 それって普段からトレンチコートを着ている叔父さんが危険な目に遭うんじゃ……


「……確かに……それはそうかもしれないけど……」


「でも真葵ちゃん……『奴ら』から逃げたらダメだよ? 『奴ら』は真葵ちゃんが切り札のうちは最強のボディーガードだからね」


「鈴木さんも同じ事を言っていたよ?」


「はぁ……分かっているなら……もう二度としたらダメだよ?」


「……ごめんなさい」


 ……あれ?

 今の狩野さんの感じ……

 誰かに似ているような……

 

「……真葵ちゃんは本当に素直だね。じゃあ、あのゼエゼエ言いながら走ってくるおじさんを休ませてあげた方がいい」


「……あれが『奴ら』なの? 小太りで汗ビショで走ってくるよ?」


「見た目に騙されたらダメだよ? あれでもかなり強いはずだから。じゃあ俺は行くよ。……俺にも見張りが付いているからね」


「その姿でも狩野さんだって分かるの?」


「まぁ……仕草とかで分かるんじゃないかな? ずっと俺に付いている『奴ら』だからね。途中までは三人付いてきていたけど今はいつもの奴が一人……だね」


「……迷惑かけてごめんなさい」


「気にしなくていいんだよ。じゃあ俺は他の用を済ませてから帰るよ」


「他の用?」


「せっかく埼玉まで来たから買い物でもしようかと思ってね」


「買い物?」


「真葵ちゃんも一緒に行けたらいいんだけど……刺激が強いから」


「……!? いかがわしいお店!?」


「あはは。小田ちゃんじゃないんだから……そうじゃないよ。武器屋だよ」


「武器屋?」


「うーん……帰ったら小田ちゃんに訊いたらいい。早く帰って小田ちゃんを安心させてあげて」


「あ……」


 そうだ。

 叔父さんが心配して待っているはず……


「じゃあ……もうあの汗ビショのおじさんを走らせたらダメだよ? 今にも倒れそうだ……」


「……はい」


 こうして狩野さんは武器屋に歩いて行った。

 汗ビショのおじさんに申し訳ない事をしちゃったかな?

 あ、すぐ近くにコンビニがある。

 おじさんを涼ませてあげたいかも……


 今度はゆっくり歩いてコンビニに入る。

 おじさんも少し遅れて汗ビショで入ってきた。 

 ポロシャツに短パンに麦わら帽子……

 どこにでもいそうな陽気な中年の会社員の休日みたいに見えるね。

 涼しい店内で気持ち良さそうにしている。

 仕方ない……

 電車を一本遅らせてイートインで何か食べようかな?

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