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2分で読める短編(お笑い系)

お弁当、温めますか? 大喜利しますか?

作者: 大崎真

最近、悩み事が増えてしまった。

妹が家族分の弁当を作り始めたのだ。

何かに凝りだしたら際限が効かないタイプの妹は、普通の弁当が、あっという間にキャラ弁へと変貌していった。


最初は、ただの丸いおにぎりが、翌日にはサッカーボールに、更に翌日にはバスケットボールに、昨日はなんと、14ポンドの黒いボウリングボールになっていた。

そして、今日は遂に、ポケモンのモンスターボールになっている。


俺は、帰宅した妹に早速、要望を伝えた。


「普通の弁当にしてくれよ」

「普通ってなに?」

「ふたを開けた時に、食べようという気持ち以外の感情が沸いてこないヤツだよ」

「なにそれ?」

「『うわ!』とか『なんだこれ?』とか『凄いなぁ~』とか、そういう感情は弁当にはいらないんだよ。ただただ『いただきます』というセリフが素直に出てくる弁当のことだよ」

「そんなのつまんないじゃん」

「弁当に面白さなんか求めてないよ」

「味はおいしいんだからいいじゃん」


何を言っても無駄だった。昔から妹とはこんな感じだ。


翌日は、アンパンマンの顔のおにぎりになっていた。脱帽した。一口かじったら中身はシャケだったが、どういうわけか、味が全く感じられない。どうやら、俺の脳はバグってしまったらしい。


あまりに腹に据えかねた俺は、Xに投稿することにした。顔半分が食べられ、中身のシャケがはみ出した状態で、


『バイキンマンにやられました。ジャムおじさん、新しい顔を握ってください』


と投稿すると、たちまち30万人のフォロワー数が増えた。今まで友達の五人だけだったのに、とんでもない数だ。


翌日は、カオナシだった。顔半分をかじり、

『あ……あ……』

と投稿すると、更にフォロワー数が増えた。


更に翌日は、俵型のネコバスだった。車体をかじり、

『事件ですかっ!? 事故ですかっ!?』

『……分かりませんっ!!』


と投稿すると、50万人になった。

さて、今日は一体どういうお題で来るのか?

わくわくしながらふたを開けると、なんと我妻善逸の顔になっていた。


(プロの域だ……! 俺の大喜利では、とてもじゃないが太刀打ちできない……! 雷の呼吸、壱ノ型を俺は食らってしまった……)


仕方がないので、そのまま投稿したら、フォロワー数が100万人に達成した。

翌日は、ウマ娘のヒシアマゾンを、そのまま投稿することになってしまった。俺の大喜利は、もはや邪魔になっていた。

現在もフォロワー数は伸び続けている。

読んでくださって、ありがとうございました。

「小説家になろうラジオ大賞」の応募作品です。


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― 新着の感想 ―
中高年以外でヒシアマゾン知ってる人いるんだ。
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