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イーサン殿下⑤

でも、ロイズ殿に違和感を感じるようになったんだ。


どうしてそんなにカトリーヌのことばかり手紙に書くのか。いくら婚約者の妹とは言えおかしいと思うようになったんだ。


それでもなんとなくなので、始めは気にしないようにしていた。


でもロイズ殿が結婚して婿入りすることが決まってこちらの国に移り住むことになってからやはりおかしいと感じるようになった。


ロイズ殿の視線が……君を見る時のあのいやらしい目つき、じっと見つめたかと思うと今度は舐めるように上から下まで見ていたんだ。


君もその気持ち悪い視線に少しずつ怯えるようになった。

セシル様は相変わらずロイズ殿にベッタリで言われるがままに動いていたみたいなんだ。


色々調べてわかったのは、君が記憶を取り戻す少し前だった。


ロイズ殿がどうして君にそんなことをするのか理由はまだわからない。

ただ馬車の事故については故意だとは思っていなかった。雨の中の馬車の事故だから単なる事故だと思っていた。


今回の馬車のヒビのことも今から調べてみるよ。


そしてセリーヌ嬢のことなんだけど……


ハッキリしているのは王太子の婚約者の地位を狙っていると言うことだけなんだ。


君と婚約解消すれば次の婚約者候補の筆頭はセリーヌ嬢になる。

俺と年が近くて高位貴族の令嬢で婚約者がまだいない中では一番相応しいからね。


「セリーヌ様が?婚約者?ダメよ!絶対ダメ!」


「え?どうして……俺のことが好きなの……?」


「はあ?え?あり得ないです。セリーヌ様が可哀想だからです!あなたみたいな人と婚約させられたら可哀想。だったら我慢してわたしがすっごく嫌だけど婚約者でいます」


君さ、セリーヌ嬢に命狙われているんだよ?


「それってセリーヌ様がしたのかな?たぶんセリーヌ様に近い人がしたんじゃないのかな?父親とか母親とか、側近の誰かとか」


君の悪い噂を直接流したのはセシル様に頼まれてセリーヌ嬢が流したことはわかっている。


君の屋敷の侍女長に家庭教師を紹介したのもセリーヌ嬢の侯爵家だったんだ。


君が記憶を取り戻すきっかけになった襲った男はたぶん……ロイズ殿だと思う。


そして今回の馬車のヒビは……たぶんセリーヌ嬢のところの誰かがしたのではないかと思うんだ。

学園の帰りに事故に遭うのなら馬車を触れるのは同じ学園でないといけないからね。


カトリーヌは記憶がないから知らないと思うけど、君は実は何度か命を狙われたんだ。

「影」が護っていたから助かったんだけど。


「何をされたのですか?」


学校で何度か飲み物に薬を入れられていたんだ。


毒薬とか睡眠薬をね。すぐに「影」が回収したし犯人は取り押さえたけどみんな絶対口を割らないんだ。


「口を割らない?」


うん、みんな捕まると必ず自殺するんだ、大人も学生もね。


「そ、そんな恐ろしいことがあったんですか?」


カトリーヌにはあまり伝えたくなかったんだ。


友人が自分を裏切ったなんて知りたくなかっただろう?それに姉の旦那さんが自分を狙ったなんて。

さらにセシル様も悪意を持って君を貶めていたんだから共犯だ。





ーーーーーーー


殿下の話を聞いてわたしはもう何かを言う元気すらなくなっていた。


「イーサン殿下、私を守っていただきありがとうございました。記憶がなかったとは言え知らない間に助けていただいていたんですね」


お礼だけ述べて、わたしはガイ達と屋敷へと戻った。


そして今夜の作戦会議と報告はガイ達に任せてわたしはおとなしく眠ることにした。


今は何も考えたくない。


明日からの登校のことを考えると嫌になるので、ひたすら眠ることにした。



翌朝、しっかり眠ったおかげで少しだけ気分はスッキリとした。



「よし!学校へ行こう」


いつものように一人で朝食を食べてガイの護衛で馬車に乗った。


「お嬢様、学校へ行くのは気まずいのでは?」

心配してくれたガイに、にっこりと笑い


「うん、でも避けて通れないなら正面から行くしかないと思うの」


「正面からですか?」


「うん」


学校へ着くとすぐにセリーヌ様の席へと行き


「おはようございます、セリーヌ様」

挨拶そこそこに「少しだけお話があります」と言って庭園へと連れ立った。


セリーヌ様はキョトンとして「カトリーヌ様?どうしたの?そんな真剣な顔をして」と聞いて来た。


誰もいないことを確認してわたしはセリーヌ様の手を握った。


少し手が震えてしまった。それでも決めたのだ。


「セリーヌ様はわたしの敵ですか?馬車の車輪にヒビが入っていたのはセリーヌ様の指示ですか?わたしの悪い噂はあなたが流したのですか?」


わたしは誤魔化さず一気に聞いた。


セリーヌ様の顔色はどんどん青くなって震え出した。


「……………っあ…………」

ガタガタと震えるセリーヌ様。


ーーもうこれ以上は聞けない。この顔色を見れば答えは出たのと同じだよね。







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