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殿下はわたしが嫌いなんです!13歳

「今日のお茶会は楽しかったかい?」


わたしは陛下と椅子に座り話をしていた。


「ええ有意義な時間を過ごさせていただきました」

わたしが作り笑いで答えると


「その作り笑いはもうしなくてもいい。カトリーヌ」


「では……陛下。そろそろわたしとイーサン殿下の婚約は解消しましょう。陛下のお耳に入っていますよね?アーシャ様とイーサン殿下はラブラブです。二人の愛にわたしは邪魔でしかありません。どうかわたしを婚約者から外してください」


「カトリーヌが婚約解消すればあの母親はお前をどうすると思う?」


ーーそんなこと分かりきってるわ!


「どこかに追い出す?さらに興味がなくなって放置?それともこの歳で修道院?変なおじさんのところへ嫁に出される?」


「はあ、そこまで酷くはないだろうが新しい婚約者を見つけてくるだろう。次が酷い相手でも簡単にはもう婚約解消は出来ないぞ。それならイーサンの方がまだマトモだと思わないのか?」


わたしは陛下ににこりと微笑んだ。


そして不敬で牢に入れられるようなことを言った。


「失礼ながら陛下。睨む、無視する、馬鹿にする、女癖が悪い。これ以上酷い相手はいるのですか?わたしが嫌いならわたしに話しかけなければいいのに態々女の子達を引き連れて会いにくる相手とこれ以上婚約なんて続けたくありません」


ーーハッキリ言って王太子妃教育をさせられて時間の無駄でしかありません!

この言葉だけは言わずにグッと呑み込んだ。


「イーサンのその態度は酷いものがあるな。わたしから注意をしておこう」


ーーいやいや、注意はしなくていいから解消しましょう!でも仕方がないのでとりあえずお礼は言った。


「ありがとうございます」


ーーだけど誤魔化されませんよ!


「でも……」


「カトリーヌ、注意はする、しかし婚約解消は簡単にはできない。解消すると言うことは皆にきちんと釈明しなければならない、君もイーサンも醜聞でしかない。わかったな?」

いつもの優しい陛下は消えて国王の顔になった。


「かしこまりました。一つだけ伺ってもよろしいですか?」

それでもわたしは頑張って食い下がった。


「うん?なんだ?」


「陛下はどうしてわたしを選んだのですか?もっと他に素晴らしい令嬢はたくさんいましたよね?」


「………それは今はすまないが答えられない。君が嫁ぐ時に答えよう」


ーーえ?いやです。嫁ぎませんけど?


「………では答えは一生聞くことはないですね」

ーーわたしの唯一の抵抗だった。


「待っていなさい」


ーー陛下はわたしの抵抗の言葉をサラッと流し美味しそうに紅茶を飲んでいた。



そして陛下とのお茶の時間を終えてわたしは馬車乗り場へと向かった。


いつものように遠回りになるけど一人で庭園を通ってから帰る。


ここの庭園を通る許可を陛下にもらっているので、王宮内を見守る騎士の人たちは黙って通らせてくれる。


「ありがとうございます」

お礼を言って騎士さん達の前を通り過ぎる。


ゆっくりと花を見たり時には止まって空を見上げたりして歩く。


屋敷に帰れば部屋に篭りひたすら時間が経つのがすぎるのを待つだけの生活。

13歳のわたしに出来ることは少ない。


せめて中等部を卒業すれば……

何が出来るのだろう?

だから今はひたすら勉強をして知識と教養を蓄えておこうと思っている。

あとはプレゼントで貰った宝石はいつでも換金出来るようにこっそりと袋に詰めてクローゼットに隠している。

ジャルマに見つかれば必要以上のものは取り上げられる。だから隠しておく必要がある。


と言っても隠しているものは陛下と王妃様がくれた宝石がほとんど。


両親からはジャルマが「プレゼントです」と言って渡してくれるイミテーションの物か安い宝石だけ。


多分お金は彼女が着服しているのだろう、子供だからわからないと思っているけどわたしはわたしの予算がほとんど使われずにジャルマが着服していることを知っている。

だからいずれ証拠を集めて彼女を断罪するつもりだ。今はわたしには力がない、だからもう少し我慢!

絶対誰の助けも受けずにあいつをわたしの力でギャフンと言わせてやる!

そして家を出て自分の力だけで生きていきたい。


まぁまだ無理なんだけどね。


なんて考えながら馬車乗り場へと向かっていた。


ーーうん?


わたしを見る視線に気がついた。


とりあえず無視して歩くことにした。


「カトリーヌ様?何故逃げるのですか?」


ーー逃げてはいません、帰りたいので馬車乗り場へ向かっているだけですが?



「わたしに何か御用ですか?」


ーーアーシャ様がわたしに声をかけてきた。

彼女が年上とはいえわたしは侯爵令嬢。ここは王宮、気安く彼女から声をかけてくるとは。


「用事があるから話しかけたに決まっているでしょう?」

彼女はイラッとしたみたいでそれを隠そうともしない。


「貴女は男爵令嬢だったと思いますが?気安く話しかけないでいただきたいわ」

冷たい視線を彼女に投げた。


「な!何よ!男爵令嬢だからと馬鹿にしているの?イーサン様に全部バラしてアンタなんか婚約解消してもらうんだから!」


「ほんとぉに?とっても嬉しいわぁ。ぜひイーサン殿下にお伝えくださぁい」

わたしは可愛く微笑んで答えた。


「強がって何よ!本当は婚約解消なんてしたくないくせに!」


「貴女、イーサン殿下のぉ、婚約者になりたいならぁ、もう少し言葉と頭の中お勉強した方がよろしくてよぉ?」


「はあ?アンタの喋り方の方がムカつくんだけど!」

わたしの話し方にイラついたアーシャ様はわたしの体を突き飛ばした。


「いたぁい!酷いわこんな暴力を振るうなんて」


わたしは倒れてシクシクと泣いた………フリだけどね。


慌てて周りにいた護衛騎士さんがわたしを立たせてくれた。

そして「話を聞きたい」と言ってアーシャ様を連行した。


「わたしは何もしていないわ。ちょっと押し倒しただけじゃない」


ーーいやいや結構力こもってましたよ?わざと転けたけど。


ーーこれでしばらくはわたしに絡んでこないでしょう。

さっ、帰ろう。

どうせ今日も帰ったら夕食は抜かれるのだから。

勉強して夜中に料理長の美味しいスープでも飲もう。







アルファポリスさんでも連載しております。

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