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【総合ページ】勇者参上!!~東方一の武芸の名門から破門された俺は西方で勇者になって究極奥義無双する!~  作者: Bonzaebon
はぐれ梁山泊極端派Ⅱ【 第4章 沈黙の魔王と白い巨塔】 第1幕 異界塔士Ro・Ar
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第310話 参拝とか聖地巡礼とかじゃないんだけど?


「あとは頂上を目指すだけって本当だろうな?」


「ハイ。間違いありません。ズバリ間違いないでしょう。」



 俺達は空の主ファイ・バード及び本体のアキラを倒し、塔の冒険を再開していた。この後もアカと二人で進む予定だったが、ラップがどうしても同行したいと泣きついてきたので、仕方なく要求を飲むことにした。元は四人パーティーだったのが、半分にまで減ってしまったので手勢を少しでも増やした方がいいと判断したためである。



「アンタのその信憑性に欠ける情報の出所ってのはドコなんだい? ふざけているようで、実際にアキラの事は真実だったから、少し気持ちの悪さも感じるんだよ、アタイは。」


「それだけは企業秘密でしてお答え出来ませんのです。」


「その企業ってのは何? お前、なんかの組織にでも所属してんの?」



 企業……それは商売上で組織化された集団であるらしい。サヨちゃんからそういう話を聞いた。タニシの実家やサンディーのおっさん、ピエール君の経営している商会のことを指す言葉のようだ。秘密というからにはこのラップも何らかの企業の人間のはずだが……?


「企業、組織……。うっ、頭が!?」


「また始まったね。誤魔化すための三文芝居が。」


「うそとか誤魔化したいとかではないんですぅ! なにかこう、思い出そうとすれば頭痛が痛くなるんですぅ!!」


「頭痛が痛い? そりゃ大変だね。その割にはペラペラとよくしゃべるもんだね。」


「ですから、名前に小さい”つ”が入っていることだけはハッキリと覚えているんですぅ!」


「またそれかよ……。」



 あまりのヘタレっぷりに、俺とアカは顔を見合わせため息をつくほかなかった。名前のそんなところだけを覚えているってことはあり得るんだろうか? なんとなく覚えていたから適当にラップ・トップと名乗っているのだろうか? こういうことを考えていると、塔の秘密よりもコイツの素性の方が気になって仕方がない。



「もういい。この男の話は置いておこうじゃないか。それよりも、この塔、この先には何が待ち受けているんだい? 洗いざらい全て話してもらうよ!」


「ひいぃ!? お手柔らかにでお願いしますぅ! 知っている範囲で良ければお話しますぅ!!」


「だからそれを話せと言ってるんだ!」



 イライラするなぁ。一言しゃべるたびに余計なビビリ・リアクションが入るから、話が全然進まない。しかも情報を小出しにしてくるから、テンポも悪い。でもここで怒り過ぎてはいけない。更にビビりまくるので悪循環になってしまうからだ。



「この先に”神様”がいますよ。てっぺんの方にね。」


「か、神!? それ本当家?」


「は、はい! いると聞きました。多分いるはず。いるかもしれません。いる可能性があります。いたらラッキー。 いるかいないか、信じるのはアナタ次第です!」


「結局、いないかもしれないって言っているようなもんじゃないか!」


「ちょっとだけいるかも? 多分、いる可能性が……微粒子レベルで存在します。」


「なんだよ! いるのかいないのかハッキリしない表現を使うなよ!」


「いやぁ、神様ですから、信じる者だけをお救いになると思うんです?」


「なんか信仰心とか、宗教の話に切り替わってないかい? アタイはもうどっちだって良くなってきたよ……。」



 結局、ラップの言動に惑わされ、話の信憑性はどこかへ行ってしまった。この間も塔の内部を突き進みながら、遅い来る魔物を蹴散らしていっているのだから不思議なもんだ。いや、ラップから来るイライラを魔物たちにぶつけながら進んでいるので、これはこれでなんとかなっているとも言えなくもない。ムカつくけど。



「じゃあ実際、神様がいたとして、そこで何をするんだ? 願い事でも聞いてもらえるのか?」


「ええ、まあ。ですのでお賽銭は用意しておいてください。それと二礼、二拍、一礼だけは忘れないでください。参拝のマナーなんで。」


「マナーってなんだよ! 俺ら別に巡礼でここまで来たワケじゃないんだけど? ていうかお賽銭って何?」


「お賽銭? そんな事も知らないんですか? 神様への寄付金みたいなもんですョ。まあ、実際は管理責任者の懐に入るんですがね。」


「俺ら散々、死物狂いで、犠牲者まで出してここまで来たのに、寄付金払わせられるだけっておかしくないか?」


「いや、私にそんなこと言われましても……。聖地巡礼とはそういうものですョ。もしかして、旦那は無課金勢なんですか? ガチャはお嫌いでしたか?」


「だからそれ、何の話なんだよ……。」



 最早、話の内容が何を示しているのかさっぱりわからなくなってきた。呆れつつも塔の攻略を進め、何か今までとは異なるフロアへとやってきた。今までは殺風景なレンガとか石造りだったり、鉄骨が組まれたような景観だったのだが、ここだけは違う。なんか寺院とかみたいに神秘的な木造建築のような場所に切り替わったのだ! フロアの通凰部分には巨大な階段があるのが見える。



「まさかここが塔のてっぺんか?」


「アタイらはとうとうやってきたんだね!」


「正確にはあの階段の先ですヨ。あの先に……神様がおわすのです。」



 荘厳な階段を見つめ、ついに冒険の結末がやってきたのだという実感が湧いてきた。心なしか、あの階段からは光が差してきているように見える。それは神の後光によるものなのか、日が差しているだけなのかはわからない。確かめるために、後はその先に突き進むだけだ……。

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