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【総合ページ】勇者参上!!~東方一の武芸の名門から破門された俺は西方で勇者になって究極奥義無双する!~  作者: Bonzaebon
はぐれ梁山泊極端派Ⅱ【 第4章 沈黙の魔王と白い巨塔】 第1幕 異界塔士Ro・Ar
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第307話 石兵八陣、破れたり!!


「危ない、りんしゃん!!」


「……!?」



 建物の異変、それは私達に災難をもたらす結果になった。急に発生した地響きの発生源はこの部屋の真上からだった。気づいたときには手遅れで、瓦礫の砂埃とともに天井が崩落してきた。瓦礫に潰されると思った瞬間、私はプリちゃんに思い切り突き飛ばされた。



「……!? く……プリちゃん?」



 教室の壁際まで突き飛ばされた私はゆっくりと体を起こして、周囲の状況を確認した。教室の中央には瓦礫が降り積もり、天井には大きな穴が空いていた。私達が倒した鎧のおじさん達は瓦礫の落ちてきた付近に縛った上で寝かせておいたので生き埋めになってしまっている。そして……プリちゃんまでもがそれに巻き込まれてしまった。



「……良かった。りんしゃんは助かったね。」



 プリちゃんは体の殆どが瓦礫の下になってしまっている。手と顔が見えていて多少は動かせるみたいだけれど、自力で瓦礫から逃れることはできないように見える。早く助けないと! 怪我してたら大変だ。



「どうしてアルか! 私を助ける必要なんてなかったアル!」


「へへ、こういうときはリーダーを助けるのが鉄則でしょうが。私が助かっても、この跡どうしたらいいかわかんなかったし……。」


「今助けるから!!」


「待ちな!! 俺達がいることを忘れるなよ!!」



 プリちゃんの救助を急ごうとした時、上から怒号が聞こえてきた! 姉御たちに抑えてもらっていたはずの残り半分のおじさん達が天井の穴から飛び降りてくる。あの人たちは今頃、”石兵八陣”で建物内を彷徨っているはずなのに? 術の発動は確認してたし、姉御たちが失敗したとは思えない。一体どうして?



「どうしてアル? どうやって”石兵八陣”から抜け出したアルか?」


「やはり貴様が用意した罠だったようだな。見たことのない術で、流石に百戦錬磨の我々でも戸惑ったぞ。」


「我々をこのような罠で少しでも足止めしたことは評価しましょう。だが、あなたの術には盲点があったようですね? あれは本来屋外での戦で用いられるものではないですか?」



 ”石兵八陣”の欠点を見抜かれていた? 「この呪符はなるべく屋外で使用すること」。確かに兵法家の先生も言っていた。この術は呪符として誰でも使用可能にして

いる故に、術の効力を限定し、封入する妖力を最低限にして作られているらしい。そうしないと持ち運ぶには少々不便な大きさになってしまうと話していた。だから高低差のある地形や多階層の建物では術の領域内から逃れられてしまうことがあると。正にその弱点を突かれてしまった。



「生兵法は怪我の素、正にそういうことになってしまったアルね。」


「貴様はそれなりに教育を受けているようだが、実戦経験あ足りなかったようだな? 我々のような百戦錬磨の戦士であれば、経験則で困難を切り抜ける事も出来るのだ。」



 言われた通りだった。私は戦術家としての経験はほぼない、先生と将棋を使って少し真似事をしただけだった。兵法を勉強したとは言っても軍隊に入るつもりはなかったし、使う機会があるとは思わなかった。でも、その結果がプリちゃんを怪我させる結果になってしまったので、反省しないといけない。



「わかったか、小娘共! お前らごときに秩序の壁が倒せると思うなよ!!」


「やめんか、ゴッタ! 貴様も経験が足りぬのはこの娘たちと一緒だぞ。」



 隊長の人が軽口を叩いた部下を叱っている。おじさんばかりだと思っていたら、お兄さんもいた。でも私達に比べたら大人なのでおじさんなのは変わりないけれど。



「でも、オジサン達だってミスってるじゃん? 私と同じで仲間が生き埋めになってるよ!!」


「確かにそれは誤算だった。まさか本当に真下にいるとは思っていなかったからな。」


「フフ、あの人たちは私達が倒したからね。気を失っている間に仲間から生き埋めにされるなんて思ってなかったでしょうね?」


「フン、たしかに貴様らにやられたのは誤算だったと言える。だが、生き埋めになったのはさほど奴らも気にしておるまい。我々はそれ以上の修羅場も経験しておるから、この程度なら屁でもない。本物の戦場はこれよりも遥かに過酷なものだ。」



 下敷きになったままでプリちゃんは気丈にもおじさん達に野次を飛ばした。自分たちの行いが仲間を苦しめる結果になったと。相手はそんなに気にしている素振りは見せていないけれど、プリちゃんの言動がありがたかった。私自身の失策で落ち込んでいるところを気遣っって、プリちゃんはおじさん達を牽制してくれたんだと思う。



「へへ、お前も下敷きになっているくせに、よくもまあ隊長殿を侮辱してくれたな? ちょっとは現実を見た方がいいぜ? この状況、3対1で勝てると思っているのか?」


「ゴッタ、少しは警戒しなさい。デイヴィット達を二人で倒した実力を甘く見るものではありませんよ。」


「たった一人でも油断はできぬ。この娘だけは手強しと私の勘が告げていると申したであろう? 兵法は未熟でも、剣術だけはそれなりの腕を持っている事は気配だけでも伝わってくるからな。」


「流石に隊長さんアルね。副長の人よりも更に強うそうな気がするアルよ。」



 これはさっきよりも苦戦を強いられそうな気がする。隊長の人だけやけに強さが段違いな感じ。これは私も本気を出さないと勝てないかもしれない。ここで二刀流を解禁しないといけないなんて……。


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