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【総合ページ】勇者参上!!~東方一の武芸の名門から破門された俺は西方で勇者になって究極奥義無双する!~  作者: Bonzaebon
はぐれ梁山泊極端派Ⅱ【 第4章 沈黙の魔王と白い巨塔】 第1幕 異界塔士Ro・Ar
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第273話 林檎仕込みの迷宮って何?


「ふーん、中はさっきいた宮殿と同じか。」



 明らかな罠、見えているトラップ的な場所に飛び込み牛のテリトリーに入ってきた。中は元いた場所にソックリになっている。だが先に見える通路は明らかに入り組んでいる。迷路の罠でも作ったんだろうか?



「来たな! 俺のラビリンスへ迷い込んだな?」



 どこからともなく牛の声が聞こえてきた。こういうときの定番とも言える思念波とかではなく、明らかな肉声。どこかから見ていて直接、生の声で話しているようだ。でも声の出所はわからない。建物内に響き渡るような声なので方向が判別出来ないのだ。



「いや、まだ迷っていないんだが……。」


「いや、迷ってるね! 迷っているから、そこで立ち止まっているんだろう?」


「お前の用意した転送門に入ってきただけやぞ。」


「ええい! 空気の読めん奴め!!」



 知らんがな! なんか、もう入ってきただけで「我が術中にハマった!」扱いにしている。まるで酒飲みが酒飲まない人がツマミ的な食べ物を食べた時、「おっ、アンタも酒好きなんじゃない?」的に勘違いするノリと似ている!


 ウザいわ! 寄るな、触るな、近付くな! お前らのお仲間じゃないんだよ! 例え、アホだとは自覚していても、お前らのような脳筋的なアホとは分類が違うんだよ!



「フフフ、入ってしまえば、俺の勝ちは決まったようなもの。じわじわと恐怖を味あわせてやるわ!」



 まだ一歩も入っていないのにこのザマだ。どんだけ入らせたいんだよ。もううるさいだけだから早速、自慢の迷路に足を踏み入れた。途端に周囲が暗くなり、通路の床と壁が輪郭のみで認識できるというような異様な光景に変貌した。まっ暗闇に真っ白い線が浮かび上がる不気味な空間と化したのだ。



「フハハ、怖かろう! これぞ我が迷宮が誇る大仕掛け、”|林檎仕込みの迷宮《アップル・シェーバーズ・ウィザードリィ”だ!!」


「リンゴがどうだって? ただのお化け屋敷みたいな感じなんだが?」


「リンゴって言うな! アップルと呼べ! 言っておくが、ディスクは抜くなよ! 絶対抜くなよ!!」


「いや、言ってる意味がわからんのだが?」



 もうワケがわからん。ディスクって何? 抜くなって何? 言葉の意味は理解出来ないがとにかく迷宮の中をひたすら歩いた。もうなんというか、凄い作り物臭が半端ない。


 住んだりとか、生活とか一切考えていな作りの建物みたいな感じだ。将棋とかチェスみたいなマスに壁を設置して区切ったみたいな形の迷路になっている。しかも風景がずっと一緒なので、道順が憶えられない。間違ったとわかっても引き返して違う道を進むみたいな事は多分できそうにない。



「フハハ、どうだ? 道順などもうわからなくなっているんじゃないか? 我が迷宮は単純明快な内装故に印象に残りにくい。それが罠として機能しているのだ! これぞ機能美! それが俺の迷宮哲学なのだ!!」



 哲学だかなんだか知らないが、確かに迷いやすいという機能は有効になっているのは間違いない。狙っているというよりはただの趣味とかこだわりでそうしているのだとは思う。ただ単に相手にドヤりたいだけだろう。



「そろそろ、術中にハマって焦り始めている頃であろう。少し面白い催しをしてやろう!」


「うん?」



 突然真後ろから声が聞こえたと思ったら、奴がいた。振り向けばヤツがいたのだ。面白い催しとか言っといて、ご本人登場ってどういうことなの? 普通ここはなんか致死性の高い罠とか作動させるもんじゃないの?



「直接、相手をしてやろう!」


「何だよ、大分もったいぶっておいて、結局こうなるのか!」



 牛は最初のときとは違い何か手に武器を持っている。なんかどこかで見たような……ってエルのあの武器に似ている! 闇の魔力の刃を持っているアレだ。でも全く同一の物では無いだろう。ここは架空の空間なんだから、本体の牛と同様に再現しただけの物と思っておいたほうが良さそう。武器を待ちだすってことは本気なのか?



「じゃあ、遠慮なく鬱憤を晴らさせてもらうぜ!」



 俺自身も義手から剣を取り出し、戦闘態勢に入る。手に取ると同時に牛へと切りかかって行った。相手は武器で受け止めるのかと思いきや、回避をした。その場にいなくなったと言ったほうが正しいか?



「フハハ、馬鹿め! まともに戦うとでも思ったか? 残念だが、お前の思い通りにはさせん!」



 大げさに回避して離れていたと思ったら、背中を見せて一目散に逃げていった。どうやら戦うつもりはなかったようだ。ただ逃げて俺をおちょくるために出てきたのかもしれない。しょうがない、後をつけるしかなさそうだ。



「フハハ、くやしかろう! 倒したい相手が目の前にいるのに逃げていくのだからな! もどかしくてしょうがなかろう!」


「何だよコレ! ただの鬼ごっこじゃないか!」


「これぞ、我が秘技、”魔王遁走戦術”だ!」


「ただ逃げてるだけじゃないか!」


「違うな、コレは戦略的撤退なのだ! いずれこの秘技の恐ろしさを思い知ることになる!!」



 この逃走の果てに何らかの罠が用意されているのだろう。付き合ってやるけど、しょうもない罠だったら許さんからな! まあ、どの道フルボッコにしてやるのには違いないんだが、さて?

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