石の中にも残念!
「ダンジョン・コーディネーターか……。そういや、エドもそんなこと言ってたな。」
俺はガツ森をでた後、サヨちゃん達が行った高級店へと向かった。……が、途中で本屋を見つけたので、立ち寄っていた。
「ダンジョンって大変だな。魔物だけに注意するだけじゃダメなんだな。まさか、人に襲われるなんて考えてもみなかったよ。」
立ち寄ったのは、ふと目に止まった本があったからだ。その名も「プロの流儀!ダンジョンの水先案内人の実情に迫る!」である。思わず手に取ってしまった。
「ていうか、迷惑な連中までいるんだから、色々対策しとかなきゃな。行く前に知っといて良かったぜ。」
色々とダンジョンの恐ろしい一面を知ることが出来た。……例の「いしのなか」に関しても知ることが出来た。コワイ。こわすぎて笑えない。この本の中では笑い話みたいになってるけど。
「この本に豚の人が出てくるけど、この町は獣人とか多いのかな?」
ガツ森に並んでいるときに周りの様子を見てみたら、いろんな人種、エルフ族、ドワーフ族、そして獣人も多く見かけた。ここに来るまではサヨちゃんから聞いていただけだったので、実際に目にして色々びっくりした。
「まあ、それはそれとして、色々指南書があるみたいだから、買っとくか?いしのなかから脱出する方法とかないかな?」
色々な本を物色してみる。「石の中にも残念!」とか「我が輩は石である」とか変なタイトルのものばかりが目立っていた。内容はどれも脱出・回避などの知りたい情報は皆無である。大体自虐エッセイとか石目線の小説とかである。
「こりゃ参考になるものがなさそうだな。とりあえず、さっきの本は買っとこう。」
本の値段を見るため、裏側を見てみた。なんと、あの、ゴッツン・ゴーの広告が載っていた。そういや、豚…じゃなかった猪の人も頼んでたな。コレってそんなに有名なのか?
「おっと、いけない!早くサヨちゃんのところへ行かないと!ガツ丼が冷めちまう。」
箱を触ってみると買ったときよりも、冷たくなってきていた。俺はさっきの本を急いで購入して高級店の方へと向かった。