ひとやすみ
「まったく!情けない奴め!」
俺は目を覚ました。気を失っていたらしい。あれ?今まで何してたんだっけ?
「小娘の裸を見ただけで倒れるとは何事じゃ!情けないにも程があるぞ!」
そうだった!それはあまりにも衝撃的だった。今回の戦いで一番ダメージが大きかったかもしれない。
「恥ずかしいよう!もうイヤ!」
エルちゃんが両手で顔を覆いながら恥ずかしがっている。今はさすがに服を着ている。サヨちゃんに服を魔法で用意してもらったのだろう。とはいえエルちゃんを見るとさっきの光景を思い出してしまう。あ……、
「言うとる側から、そなたは何を考えておるのじゃああ!!」
(バチィィィン!!)
再び鼻血が出てきたところで、思いっきり殴られた。このままだとダメージがさらに増えてしまう。もうダメだあ……。
「勇者様のスケベ!」
とうとう、エルちゃんは泣き出し始めた。ゴメンよ。君の体があまりにも素敵すぎたんだ。
「ついさっきまで、死ぬか生きるかのやりとりをしておったというのに、こんな不抜けた雰囲気にしてしまいおって!このたわけがっ!」
たしかこの後、エドワードと決着を付けないといけないはずだが、こんなヘンな空気にしてしまって大丈夫だろうか?
「そっちは……大丈夫か…な?」
怪我の治療をしている彼らに声を掛けてみる。回復魔法を使っている真っ最中のクロエは顔をこちらに向けた。……なんか、俺をゴミでも見るような目つきをしながら舌打ちをした。メチャクチャ軽蔑されてるっぽい!
「こちらは問題ない。むしろ、貴公は大丈夫なのか?」
「え?……あ、うーん……?」
正直、返答に困った。戦闘でのダメージはほぼ残ってなかったが、さっきのやりとりで女性陣から大ダメージを与えられてしまった。肉体的にも、精神的にも。
「無理をせずとも良い。本調子でないのならば、別の機会にしよう。そんな状態の貴公に勝っても不本意な結果となってしまう。」
そうだろうか?それはお互い様のような……、
「お互い様じゃないかな?治ったとしても、あんたはついさっきまで重傷だったんだぜ?条件は同じだろ?これでようやくどっちもハンデが同じぐらいなったからちょうどいいんじゃないかな!」
考えてみれば、そうなんだ。これで問題ないと思う。別の機会と言っても次はいつ会えるかわからない。
「貴公の心意気に感謝する!」
エドワードはゆっくりと立ち上がった。