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幻陽の賢者VS氷結の魔女!!

「貴様は必ず妾が倒してみせる!」



 妾たちは砦の上空へと戦いの場を移していた。竜同士の戦いなのだ。他の者を巻き込んでしまいかねないからだ。この場ならば、手加減をする必要はない。ありったけの魔力で地獄の業火プロミネンス・バーストを生み出し、父の仇へ放つ。骨に至るまで焼き尽くしてくれる!



「これはこれは、大層お怒りな事で。」



 業火の炎球はレギンの目の前に出現した白く輝く壁……冷気の魔力?……によって消滅させられた。



「私の氷結の魔術で少しは頭を冷やしてみてはどうかしら?」



 白く輝く壁は次第に特大の氷塊へと変化していった。その氷塊が自分目掛けて飛んできた。これは生半可な火力では相殺できぬな!



「プロミネンス・ウォール!」



 炎熱の壁を出現させ、氷塊を遮る。先ほどレギンへと向けた炎球に勝るとも劣らないくらいの魔力は込めている。



「馬鹿な!抜けてくるというのか!」



 氷塊の先端が炎熱の壁を貫こうとしていた。途方もないくらいの全力の魔力で形成しているにも関わらずだ!



「クッ!このままでは!」



 氷塊がついに炎熱の壁を突破してきた!このままではまともに食らってしまう!せめて少しでも威力を殺すために火炎魔法をできる限りぶつける。



「無駄よ。貴方程度の魔力ではね。」



 レギンの余計な一言を少しでも黙らせたかったが、目の前の氷塊をどうするかで手一杯だった。ついに氷塊を火炎魔法で砕くことは出来たが、その勢いを殺すまでには至らなかった。



「こんなことでっ!」



 もう後は耐えるしかなかった。無数の氷塊が飛来する。自身の周りをバーニング・コートの魔術で覆ってはいるが、この氷塊のまえでは気休め程度にしかならなかった。全身を激痛と冷気が襲う!



「うわあああああっ!!」



 生まれて初めてかもしれない。これ程の手傷を負わされるのは。この程度の怪我はすぐにドラゴン・フレッシュの能力で再生できる。だが怪我よりも屈辱よりも、自身の力が及ばないことの方が何よりも堪えていた。



「貴方、幻陽の賢者なんて呼ばれてるんですってねえ?今の無様な姿を見たら、人間共は何て思うかしらねえ?」



 自分もそんな異名に胡座をかいていたわけではない。常日頃から魔術の鍛錬を怠らなかったし、時折人の姿を借りて実戦を積んでいた。それでも、敵わない相手がいるとは思わなかった。しかも、自身と同じ竜族だ。



「フフ、勇者を引き連れているのは、貴方自身の強さが私に及ばないことがわかっていたからではなくて?……まあ、でも、あんな坊やじゃ、いたところで何の役にも立たないでしょうけど!」


「黙れ!貴様に彼奴の何がわかる!彼奴と妾なら貴様なぞ、あっという間に倒してみせるわ!」



 普段は自身や肉親を侮辱されない限りは怒りの感情を感じたことはなかった。だが今は変わったのがハッキリわかった。ロアの奴を馬鹿にされた事に自身が激高しているのがわかった。……妾はそれほどまでにロアに肩入れしてしまっているということか?



「彼奴を馬鹿にしていいのか?貴様の嗾けた、あの男は彼奴に負けたのじゃぞ!」


「あのお方が負けるはずがない!きっと、貴方たちが汚い手でも使ったのでしょう?貴方たち如きに負ける器ではないわ!」



 この女はこの女であの男に随分と肩入れしているようだ。ただ、あの男を嗾けただけではないというのか?



「それで私はあの娘に目を付けたのよ。あの坊やは随分とあの娘と仲が良くなっているようじゃない?……そんな娘が魔王になり、脅威として立ちはだかったら、どんな顔をするのか見てみたくなったのよ?これからどんな事になるのか楽しみでしょうがないわ!」


「貴様!何て下劣な事を!!妾から父を奪っておきながら、さらに罪を重ねるつもりか!」


「フン!よくもそんなことが言えたものね。貴方も同じだというのに?私から奪ったものはヴァル様の命だけだとでもお思い?」


「な、何を言っておる?」


「あら、本当にご存じないのね?我が父、邪竜王レギウルスを処刑したのは竜帝よ!」


「何じゃと!!」



 初耳だった。レギンが竜族の裏切り者とされていることは聞かされていたが、その父親が父に処刑されていた事は聞いたことがない。レギンが父、竜帝を恨んでいる故に機会を窺っていたという事までしか知らない。



「我が父とヴァル様の受けた屈辱を倍にして返してあげるわ!死よりも耐えがたい苦痛を味あわせてあげる!」


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