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あの技を使うわけには……。

 地面に突き立てた剣を持ち、地面ごと斬り上げる勢いで、エドワードの剣を下から思い切り跳ね上げた。



「グッ……!!!??」



 エドワードの体は自分の頭上を舞っていた。凰留撃の勢いで彼の体を吹き飛ばしていた。そのまま受け身を取れずに落下した。



「グハッ!!」


「イグレス様!!」



 クロエがたまらず悲痛な叫び声を上げている。そうか、それぐらいのことをしてしまったんだよな。こりゃ、恨まれるだろうな。



「閃!!」



 声が聞こえた瞬間、こちらに殺気が飛んでくるのを感じ、反射的に体を反らせた。光弾がそのまま後ろの方へ飛んでいく。彼女に攻撃されたようだ。



「くっ!躱された!……次は外しません!」



 続けて光弾を放とうとしている。次は彼女を相手にしなきゃいけないのか!



「マジック・シールド!」



 彼女の手前に青白い光を放つ壁が現れ、放った光弾をかき消した。



「何故、貴方が邪魔をするんですか?」


「いや、すまぬ。思わず体が動いてしまった。ロアの奴を支持せんとは表明したものの、どうにもあやつを放ってはおけなくてのう。」


「サヨちゃん!」


「こうなった以上、妾も加勢する。安心するがよい。」



 口では賛成できないとは言っていたが、結局、なんだかんだで手を貸してくれるんだな。



「フフフ、賢者殿もさすがに痺れを切らしたということか。」



 エドワードはいつの間にか立ち上がり、平然とした様子で、サヨちゃん参戦を冷静に認めている。こうなることはあらかじめ想定していたかのようだ。



「それよりも、勇者殿。まだ、貴公は本気を出していないのではないかな?死霊騎士を倒したときの、あの技はどうした?使わずとも私を倒せるとでもお思いか?」



 見てたのか?あの時。交戦中で手一杯だったと見せかけて、しっかり見ていたのか。しかし、使えば圧勝出来るだろうけど、取り返しがつかないことになる。エドワードは死なせたくない。あの技は絶対倒さないといけないヤツにしか使いたくないんだ。それこそ、不死身の化け物が相手でもない限りは。



「それはお互い様じゃないの?アンタも俺を殺す気がないんじゃ?なんか、俺とは違う理由で。」 


 

 直感だが、俺みたいに迷っているとかではない。なにか、こう、楽しんでいるというか。いかに俺を本気を出させるかを試しているような気がする。



「日々、デーモンばかりと戦っているとおかしくなってくるものさ。心なき化け物共との戦いは作業と大して変わらない。」



 エドワードが胸中を語っている。出会ってから常に冷静沈着な態度をほぼ崩さないでいる。そうでなかったのは、デーモンに対しての憎しみを表に出しているときと……今の、この瞬間だ。



「人と戦うのは随分と久しいものだ。何か忘れていたものを思い出したかのようだ。心が躍るのだ!これほど充実した戦いを私はずっと待っていたのだ!」



 こういう人は大体、強い。戦いを生きがいとしている人たちには昔からよく接してきた。梁山泊には山ほどいた。こういうのは国や人種、文化が違っても関係ないんだろうな。



「では、第二ラウンド開始と行こうか!」



 今度こそ、どちらかが死ぬまで終わらない戦いが始まるのか。こうなると、あの技を使わざるを得なくなるのか?



「きゃああああ!?」



 戦いに身構えしようとしたとき、背後から突如悲鳴が聞こえた。まさか、エルちゃんが……?


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