変態さん帰る。以上、京〇の提供でお送りしました。
「しまっタあああ!!」
まさかあの場所から落ちたのか?ロアの奴とあの娘が屍術師と対峙し、逃げようとして外の崖に通じている場所に行こうとしているのは確認していた。目の前のリッチが邪魔で手助けしてやれんかった。口惜しいわ。
「ええい!こいつめ!洒落臭いわ!」
鬱陶しい。全力で戦えるなら、本来の姿で戦えるのであれば、このようなアンデッドごときに遅れを取るはずがないのに。全力で力を行使すれば一瞬で片が付くのだが、黒の兵団の連中まで巻き添えにしてしまう。だから、どうにも歯がゆい。
「フレイミング・スプラッシュ!これならどうじゃ!」
何発もの炎の飛礫を相手に向かって放射する。
「……!」
「そこまデですよ!」
炎の飛礫が命中する寸前で、ローブを着た屍は姿を消した。
「トマホークがヤられたと言うだケでも、ショックですノに、ファントム達までヤらせるわけにはイけませんヨ。」
寸前であのリッチを引っ込めおったか。頭がおかしい割にはやりおるわ。あなどれん奴め。
「もうあなたがタと戦っテいる暇なド、ございマせん。さっさと、被験者4号の捜索ニ入りまスですよ。」
「待て、逃げるつもりか!」
漆黒の貴公子達が魔術師に詰め寄ってきた。あ奴らの相手も同時にいなくなったのだろう。
「逃げル?バカおっしゃイ!あなたがタにはそもそも興味なドございまセーんよ!それでは、グッバイですヨ!」
転移魔術で逃げおったか。……それより、あの二人は大丈夫なのだろうか?
「賢者殿!」
漆黒の貴公子たちが我が元へ集まってきた。彼らに負傷者は皆無のようだが、さすがに疲労の色が濃いようだ。
「最悪の結果じゃ。デーモン・コアの娘とロアが生死不明、屍霊術師も取り逃がしてしまったのう。」
「あのような外道に手こずってしまった。申し訳ない。」
「いや、妾とて手を焼いた。奴はそれほど手練れだったというわけじゃ。」
互いに一歩及ばなかったことを悔やむ。だが大事なのは次の一手をどうするかだ。
「このまま、二人の捜索に移りたいところじゃが……、」
「我々の消耗も大きい。それに今の時間からでは続行するほうがリスクが増える。」
もう既に日が傾き掛けていた。夜間の捜索は危険が多くなる。下手をすれば、ミイラ取りがミイラになりかねない。
「口惜しいが、撤退する以外、手はないのう。」
「私も同感だ。」
両者の意見は合致した。一旦休息して作戦を立て直そう。