第210話 破壊VS無効化
「ギロチン・バースト!!」
(ザンッ!!)
逃げ回りながら、銀仮面の攻撃を躱し続ける。通常の点による攻撃となぎ払う攻撃を織り交ぜながら、俺を執拗に追い詰めてくる。今度は縦方向になぎ払う攻撃だ!
「逃げ回ってばかりだな! 防戦一方では決着が付かんぞ!」
「余計なお世話だっ!」
戦いはずっと一方的な展開だった。相変わらず銀仮面の攻撃を凌ぐ手段は思いついていない。あのなぎ払う攻撃もあるせいで余計に困難になってしまった。
「勝敗を決する条件を加えようか? お前が降参するという条件を。」
「でも、そうなったら、なんらかのペナルティを課してきたりするんだろ?」
「もちろん。」
そんな条件を加えてくるとは。相手もそろそろ飽きて来やがったんだろう。あまりにも俺が抵抗をしないので、早く決着を付けたがってるのかもしれない。それなら、こちらも付き合ってやるとするか。
「……?」
早速、行動に移した。それと同時にヤツの動きも止まった。ヤツが俺の居所を探る方法、それの裏を突く手段を試した。ヤツは戸惑っているようだが、俺の居所の痕跡が完全に消失したと思っているかもしれない。もちろんそれは、俺の推理が当たっていればの話だが。
「何をした? 今さら小細工をしたところでお前に勝ち目があるとは思えない。無駄な抵抗はよせ。」
変化に気付いている。やっぱりヤツからは俺は消えたように思っているんだろうな? そうとわかれば、一気に決める! ヤツの気配は手に取るようにわかるので、一思いにヤツの眼前まで躍り出る。
「ムッ!? そんなところにいたのか! そのまま隠れていれば、わからなかったものを。わざわざ負けに来るとは!」
「早期決着がお望みだったんだろう? その望み叶えてやるんだよ!」
銀仮面に向かって走る。その間にヤツはエベリオンを構えて、破壊術を撃ってくる。来るのはわかっているので、無効化しながら前に進む。
「破壊!! 破壊!! 破壊!!」
「無効!! 無効!! 無効!!」
後、二、三歩で届くところまで来た。その状態であの攻撃が来た。
「ギロチン・バースト!!」
横薙ぎの攻撃! 俺は無効化せずにスライディングをしながら躱した。相手の意表を突きたかったからだ。
「クッ!? そううまく逃れられると思うな!」
なぎ払いの後、素早く切り返し、目前に迫った俺にエベリオンを突き付けてきた。これは無効化が間に合わない。でも、撃たせない!
「これならどうだ!」
「なっ!? どういうつもりだ!」
突き付けられたエベリオンを逆に俺の胸に当てさせた。普通に考えたら絶体絶命だが、ヤツは撃たなかった。いや、撃てないんだ。
「撃てないんだろ? この状態で撃っちまったら、俺は確実に死ぬ。でも、殺したら計画は台無しになる。そうだろ?」
「だったら、お望み通り撃ってみせるさ!」
「峨嶺辿征!!」
(ボンッ!!!!)
撃つ前に俺の技が発動し、エベリオンに亀裂が入った。魔法無効化で壊れたのだ。これも俺の予想通りだった。
「クッ!? 私のエヴェリオンが!?」
「おかしいと思ったんだよ。強い魔法を即座に撃って、連射も出来るのは何か秘密があると思ってたんだよ。連射式の弩みたいに予備の玉をコレに詰めてあるんだろ? だから、これに対して無効化を使えばそれも消滅する、それで合ってるよな?」
「おのれ! 気付いていたのか! 魔力喪失といい、小細工を使いおって!」
「剣も武術も禁止されてるんだから、こういう戦い方しか出来ないだろ? それに、ヤッパリその鎧、相手の魔力を感知して居場所を特定できるんだな?」
「気付いたからといって、探知不能に出来るはずはない! 魔力が全く無い状態など人間に出来るものか! 魔力が0なのは死体でない限りありえんのだ!」
ありえないのか? そのありえない人間が目の前にいるんですけどね? 俺って実は死体だった? んな、アホな!
「魔力を0にする方法、それは……魔法無効化を空打ち連発してたからだ!」
「バカな! そんな馬鹿げた方法に私は騙されたのか!」
「バカげた方法で悪かったな! でも、お前はそのバカに負けたんだよ!」
「おのれ! 認めんぞ!」
「往生際が悪いぞ!」
とりあえず勝った。倒してはいないが、エベリオンを壊して使用不能にしたから勝ちのはず。でも、銀仮面は納得がいってないようだ。困ったヤツだな。




