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変態さん!いらっしゃい!!、以下、〇商の提供でお送りします。

 そのとき、聞いたことのない声が割って入ってきた。俺は反射的に声がする方向に体を向けた。その場のみんなも同じように動いているのが気配で感じ取れた。みんなの視線の先には、一人の男がいた。おかしな事にそいつは宙を浮いていた。見た目は4、五〇代ぐらいの痩せ型のひょろ長いオッサンだった。ローブを着ているので魔法使いだろうか?



「あなた、立場をワかっているのでスか?……被験者4号?」



 被験者?4号?なんだそれ?この娘を人間扱いしていないかのような物言いだ。彼女の様子を見ると、さっきよりもさらに怯えている。このオッサンから逃げ隠れていたんだろうな。



「貴公は何者だ!」


「何者?失礼デすよ!あなた!私の事を存じてイないとオっしゃる?」


「生憎、貴公のような趣味の悪い人間など知り合いにはいないのでね。」


「よォ~~く、憶えておいでナさい!我が名はオプティマ・マァァーーッド!いずれ、世界の常識を覆す男でス。」



 世界の常識を変えるだあ?何かヤバそうな気配が言葉の端々から伝わってくる。絶対関わり合いにはなりたくないタイプのオッサンだ。



「貴公がどのような理由でこの娘を探していたのかは知らんが、デーモン・コアを渡すわけにはいかぬ!決して悪用などさせるわけにはいかぬ!」


「悪用呼ばワりとは、頂けまセんねえ!私の研究は人類の未来を変えるかモしれないンですよ。」


「閃!!」



 いきなり仕掛けたのは、クロエさんだった。こぶし大の光弾がオッサンに向かって飛んでいく。問答無用でいきなり撃ってくるとは、おっかない人だ。この人も大概である。コワイ。



「おおっト!」



 オッサンは慌てて身構え、飛んできた光弾をいとも簡単に虫をはたき落とすかのように撥ね除けた。



「ムッ!」



 さすがにクロエさんも悔しかったようだ。キッとした目でオッサンを睨んでいる。



「野郎!」



 続いてウネグが矢を放つ。しかも脅威の二連射だ。すげえ!今どうやったの!



「まったク、ご無体ナ方々でスねえ。」



 呆れながら、今度は構えようともしない。矢の方がオッサンから逸れて飛んでいく。何が起きたの?



「チッ!矢逸らしの魔術を使ってやがったか!準備の良い野郎だ!」



 矢を当たらなくさせる魔法があったとは!つくづく、魔法の便利さを実感させられる。



「仕方アりませんね。邪魔立てスるのであれバ、こちらも容赦いタしませんよ!」



 オッサンが何か複雑な印を指できった後、地面に向けてエイッと気合いを込めた。すると地面には魔方陣らしきものが三つ浮かび上がり、そこから、それぞれ武装した不気味な人影が姿を現した。



「ネクロマンシーか!」


「ジャベリン、トマホーク、スコーピオ!ヤっておしマいなさい!!」



 ネクロマンシーって死霊術のことだっけ?なんかさっきまでデーモンが操ってた悪霊と迫力が違う!なんか名前まで付いてるあたり、名無しの死体とは圧が違う。



「タクティクス・№2だ!デーモン以外とはいえ、只者ではない。気を抜くな。」


 

はたまた登場、謎戦法。黒い人、猫の人が前に出て、その後ろにウネグ、クロエが控えるといった体勢になった。……ん?この感じだと接近戦が得意な人が前に出ているので、俺も前に出たほうがいいのか?



「これ!何をしておる!さっさとそなたも前に出て戦わんか!」



 サヨちゃんから檄が飛ぶ。内容からすると俺の推測は当たっていたようだ。やっぱ、前に出なきゃいけないのね、とほほ。



「グオオオアアアッ!!」



 開戦の狼煙がわりに、真ん中にいた斧を持ったゴツい戦士風の死体が吠えた。その声を皮切りにみんな一斉に動き出した。俺以外は。



「私はあの槍使いを殺る。貴公はその短剣使いを頼む!」


「ラジャー!任せるニャ。」



 黒い人は猫の人に指示を出し、自身も槍使いと交戦し始めた。……おい、ってことは俺は斧使いと戦えってのか?一番強そうなヤツじゃねーか。



「グガアアアッ!!」



 来たあ!来よったでえ!こうなったらやるしかねえ。勇者の意地を見せたらあ!



「グオッ!」



 いきなりフルスイングででかい斧を振り下ろしてきた。とりあえず、これは避けよう。



(バゴオオッ)



 轟音と共に砕けた床がはじけ飛ぶ。避けたというのに、破片が何個か体に当たる。痛え!破片ですら痛いから、斧を食らったら大惨事間違いなしだ!



「グウッ!」



 休む暇も無く二撃目が来る。今度は横薙ぎの攻撃だ。……こういうときは、



「一0八計が一つ、」



 相手の攻撃を跳躍で避けつつ、



「峨龍滅睛!」



 脳天目掛けて一撃だ!力士と戦ったときとは違う。今度は一切手加減なしだ。俺の剣が見事に相手のドタマに半ばまで食い込んだ。



「グオゲッ!」



 奇声を発しながら、もがこうとしている。そのとき、俺は衝撃と共に後ろに吹っ飛ばされた。



「バックラァッ!」



 しまったあああ!わすれてたあ!絶対一撃で殺したと思ってたのにい。……相手は最初から死んでたのよね。そりゃ、頭カチ割っても死なんわな。



「こうなったら、ぶっ殺してやらあ!」



 違った、間違えた。最初っから死んでるって。


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