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第184話 MG(マッタリグレード)・Ver.Ta(バージョンタニシ)


「何なんだよ、C・F・Mって?」



 実習に挑むメンバーを結成したついでに色々作戦会議をしようということになった。ジムにも声をかけ参加させている。そこで急にハリキリ始めたのがタニシだ。久々に例のアレをやることになったのだ。



「キャンプ・ファイヤー・ミーティングの略だよ。ダンジョンに挑む前の安全教育みたいなもんだ。」


「“ファイヤー”ではないでヤンス! “ファイアー”でヤンス!」


「どう違うんだよ?」


「な? メンドクサイだろ? でも付き合わないと、ダンジョン入ったときに小言を言われまくると思うぜ?」



 タニシはダンジョンの話になると、止まらなくなる。いらん豆知識、ウンチクを延々と語り始めるので、犬だけど暴れ牛みたいに止まらないし、止められなくなる。だから、メンドクサイのだ。



「ハイ! 皆さん、始めるでヤンスよ!」


「ハイハイ。」


「そこ! ハイは一回でヨシ!」



 ダンジョンのことになると突然強気になり始める。こうなると、もう誰にも止められない。暴れ牛は解き放たれたのだ!



「まずは一個目! この状況、アナタならどうする?」



 問題を出題すると共に、何か人形と土台を持ってきてセッティングを始めた。ダンジョンの壁と兜を被った猫…ボウケンねこが土台に配置された。今回は絵ではない模様。意外な展開だ。



「猫さんはダンジョンの攻略中、分かれ道に差し掛かりました。どちらに行こうか迷っています。分かれ道の右側の先は曲がり角になっていて、左側は先が暗くなっています。どんなトラブルが考えられますか? コマンド?」


「その前にナニコレ? 今回は絵じゃないのか?」


「わふっふっふ! よくぞ聞いてくれました! これはCFMの進化形、CFM・MGマッタリグレード・Ver.Taバージョンタニシでヤンス!」



 何だよそれは? MGとか、バージョンタニシとか。大層な名前を付けたり、絵を人形に置き換えただけでやることは同じじゃないか。変に凝ったりしやがって。



「出題の絵を人形に置き換えただけじゃないか?」


「そこ! うるさい! 素人は黙ってなさい!!」



 怒られた。何だよ、ツッコミ待ちだと思ってたのに……。つまんないの。



「なんだ? これに答えればいいのか? じゃあ……右側に行こうとして曲がり角に待ち構えていた魔物に襲われる。」



 トニヤが速攻で答えた。でも割と普通の回答だ。初心者だからしょうがないか。



「そうそう、そんな感じ! ハイ、他は?」


「じゃあ僕も。左側を進んで、暗くて見えなかったので、罠に気付かず作動させてしまう。」



 ジムも真面目な回答だ。ここは俺が勇者の貫禄を見せてやらないとな!



「次は俺! 分かれ道はどっちも罠だと思ったので、第三の道を掘り出そうとしたが、落盤して生き埋めになる!」


「あああーっ! また、アニキの悪癖が始まったでヤンスぅ! そんなあり得ないシチュエーションは問題外でヤンス!」


「ええーっ? でも、その方が面白いじゃん?」


「そんなネタ回答はいらないでヤンス!」



 そうかなあ? いい回答だと思ったんだが。タニシにはイマイチ刺さらなかったようだ。別のヤツを考えよう。



「俺ッチもいいっすか? 分かれ道どっちがいいか迷ったので、筋トレしながら考えていたら、エネルギー切れで死亡するッス!」


「何故迷ったら筋トレなんでヤンスかぁ! ダンジョンでは意味不明な死に方でヤンスぅ!」


「いやいや、マッチョ業界ではたまにある事故ッスよ? 知らないんスか? マッスル・ノウザン氏はそれで死んだんすよ! まだ若いッスのに!」


「そんな人知らないでヤンス! それはダンジョンの話じゃなくて、筋トレの話でヤンス! マッチョ要素はいらないでヤンスよぅ!」



 チクショウ! その手があったか! 弟子に一本取られてしまった! くそう、筋肉ゴリラも意外と侮れないな!

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