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第171話 名付けてD・I・Y寮!?

「なんだこれは!? ここはいつからテント村になったんだ!?」



 あれから数日、俺らの寮というかねぐらには数多くの人が集まってきていた。あの決闘の裏話を聞いて、学院に虐げられている学生がやってきたのだ。中には職員とか先生もいた。


 寮の部屋があてがわれてない人が多いので、俺らと一緒にテント生活を始めている。ぱっと見、難民キャンプみたいになっているのだ。だからこそ、様子を見に来たラヴァンも驚愕してしまったのだろう。



「まあ、一応、寮の名前はある。D・I・Y寮とでも呼んでくれ!」


「何だ、その略称は?」


「誰でも・いいから・よってこい、の略!」


「……!?」



 ラヴァンは唖然といている。気に食わなかったのだろうか? いいネーミングだと思うんだが?



「ただの浮浪者の群れでしかないだろう、これは?」


「原因は学院側にもあると思うけど? 文句あるんだったら不当に扱うことを禁止してくれ。」



 中には犯罪的な事をして、貶められた人もいるかもしれない。でも、大半の人の話を聞くと俺らやトニヤと同じ様な理由で、不当な扱いを受けているのがわかった。だからこそ一致団結して覆してやろうと考えている。



「私の一存ではどうにもならんことだ。」


「そんなこと言ってると、例のメイドの子とか守り切れなかったりするんじゃないの? アンタも現状に不満があるなら立ち上がった方がいいんじゃない?」


「君にそのようなことを言われる筋合いはない!」


「ええ~? アンタ、教師でしょ? なんとかしようよ? お・と・ななんだから!」


「そう簡単に割り切れるものではない! 大人だからこそ、立場というものがある!」



 ラヴァンはそう言い残し、あっさりと帰ってしまった。今までで最短の滞在時間だった。何しに来たんだ? 俺の一言が案外ダメージを与えたようだ。今までにないくらい動揺していた。



「アニキ! 今日も盛況だったでヤンス!」


「おう! ご苦労! 大分、商売人が板についてきたじゃないか!」


「あっしもやれば出来る男でヤンス! この調子で売り上げをドンドン上げるでヤンス!」



 この前から、商売をタニシに完全委託する形にした。あくまで俺は料理人に専念したいからな。それに客引きならもっと最適な助っ人がいる。


「ロッヒェンもお疲れ! 売り上げに貢献してくれているようで何よりだ!」


「フフ、僕も楽しませてもらってますよ。今まではコンテスト以外では披露する機会はありませんでしたから。」



 ロッヒェンにも手伝ってもらっている。肉を提供する代わりにだ。店ではベヒモス・ハンバーグを作っている。もちろん客引き効果のある、例の“空中ハンバーグ”のパフォーマンスも有効に使っている。話題が話題を呼び、大盛況となっている。ハンバーグに加工するためのレシピ考案がかなり難航したけど。



「今後はどうするんですか? ベヒモスの肉も残り少なくなってきたようですが?」


「ああ。その辺はタニシが何か展望を考えてるようだ。これまでの売り上げ金を元手にさらに発展させるんだとよ。」


「ウッシッシ! あっしにいい考えがあるんでヤンス。これで成功して、あっしは大金持ちになって、女の子にモテモテになって、王様になって、ゆくゆくは世界の支配者になるでヤンス! アッシッシ!」



 なんか変な妄想まで入り始めたが、親戚のオジサンなどと協力して、学院の食事情に革命を起こそうと目論んでいるようだ。


「で? ミヤコには食べさせたのか? ロッヒェン?」


「え……!? あ、ああ、あの件は……、」


「どうしたんだ? んん~?」


「……食べてはくれましたが……何も言ってくれません……。ダメなんでしょうか?」



 アイツめ! ホントに素直じゃないな。アイツの性格からして、マズけりゃ、文句を垂れてくる。嫌いな物が入っていても同じ反応をする。ときには暴力を振るってくることも。ということは……。



「文句も言わない、暴力を振るってこないということは、マズいとは思ってないのは確かだろうな。つまりはウマイと思っているって事だ。多分!」


「本当ですか! やったあ!」



 ハハ、でも報われないよなコイツも。アイツは意地張って認めようとしないだろう。何に対して意地を張っているのかねぇ? やれやれ。

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