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お宝?ゲットだぜ?

「まさかの調査続行とは……。」



 倒したデーモンは……、実は影武者だった?黒い人が認めてくれて、せっかくいい気分になっていたのに、それを台無しにするような事態になった。

 

 まず第一に弱すぎたということらしい。デーモン・コアクラスの魔族ともなれば、こちらに犠牲者が出かねないレベルの強さであるらしい。本物はもっと強いのか。ぞっとした。


 第二にデーモン・コアの破片が出てこなかったこと。普通、デーモン・コアクラスを倒すと、浄化しきれなかったコアが残るのだそうだ。残りカスですら強いなんて。


 第三に測定器が反応しているということ。さっきのデーモンを倒したあと、悪霊どもが出なくなったのだが、測定器を出してみると、まだ反応が残っている。それにまだおぞましい気配もまだ消えていなかった。



「しかし、いる場所の手がかりすらないとは……、高度な鬼ごっこかよ。」



 測定器を使用しても、方向計はぐるぐると回り続けるだけで、一定の方向を指し示してはくれなかった。そこまで高度な測定が出来るものではないらしい。ぐぬぬ。



「鬼さんこちら、手の鳴る方へ……ってか。」



 もちろん、遊びではないので都合良く出てきてはくれない。手当たり次第、みんなで手分けして探すしかないのだ。



「もういいや。誰か見つけるだろう。俺が一人さぼったぐらいでどうにもならないだろ。プロに任せときゃいいだろ。」



 周りに誰もいないことを確認し、壁際にもたれかかって座ることに決め込んだ。壁に手を掛けゆっくりと座ろうとした、そのとき……、壁を触ろうとしたその手の感触は何も感じられなかった。もたれようとしていたので、そのまま、バランスを崩して、倒れるようなことになった。



「どぅわっ!!」



 思わぬ事態に素っ頓狂な声を出してしまった。その壁があったはずの空間に転がり込むことになった。……何?隠し部屋?噂に聞く幻術とかいう魔法で隠していたのだろうか?その場所は意外と明るく、青白い光を放つ松明のようなものが壁に付けられていた。サヨちゃんやファルが使っていた魔術の灯りだろうか?少なくとも炎の灯りではないことは確かなようだった。



「サボろうとした矢先にこれか。……全く、運がいいんだか、悪いんだか。」



 宝くじを捨てようとしたら、見事に当選してしまったような感覚だ。ほっといても、何が出てくるかわかったものではないので、このままここを探索することにした。そのまま恐る恐る中へ入っていく。



「なんかおっかない物が出てきませんように。」



 中は意外と広かった。入り口の付近の通路は狭かったものの、地下への階段を下りていくと……今の場所に辿り着いた。



「おっかないものがいるかもしれないけど、お宝なんかがあったりして。」



 最初は怖かったが、隠し部屋といえば、お宝なのではないかという考えが浮上してきた。隠し財産、埋蔵金、伝説の武器、はたまたオーパーツ、古代文明の遺産!ワクワクが止まらないね!なんか歴史を覆す驚くべき発見をして、後世まで讃えられるかもしれない!



「まってろ、お宝!大発見は俺のモンじゃあ!」 



 最早、当初の目的は頭の隅の方へと追いやられていた。ビビリまくりの状態で探索するよりはマシかもしれない……と思うようにした。



「シラミ潰し的にくまなく探索してやる。絶対に何か見つけたる!」



 探索の基本だ。どこに何が隠されているかわからない。ここの入り口でさえ一見何もないようなところに隠されていたのである。ひょっとしたら、同じ手口で隠されているかもしれない。壁や床をさすったり、叩いたりしながら探してみた。


 探し始めて小一時間たった頃、異変が起きた。……何か壁が柔らかい。妙に柔らかい。何コレ?ムニュムニュしている。今まで触ったことのないような感触だった。



「お宝?何か柔らかいけど?」


「いやあああっ!!」


〈パーン!〉


「タゲシっ!」



 いきなり、壁?お宝?に殴られた。……しかも、しゃべった!



「何をするんですか!」



 今まで壁だったところが、何故か女の子?に変化していた。なんとお宝は……女の子だった?



「あの、もしかして、お宝さんですか?」


「違います!何を言ってるんですか!」



 お宝?は目に涙を浮かべている。女の子?……ってことはもしかして、



「さっき触ってしまったのは、もしや、おっぱ……、」


「いやーーっ!!」


〈パーン!〉



 もう一度殴られた。触れてはいけない事実に触れてしまったようだ。いや、触れてはいけない物に触ってしまったようだ。



「ここで何をしてるの?」


「あなたの方こそ、何をしているんですか!」



 こんな所に人がいるのも不思議だが、そもそも、自分自身も不審者であることには違いは無かった。しかも、不可抗力とはいえ、痴漢行為まで働いてしまっている!明らかに非が多いのはこちらのほうだった。



「お宝探し……じゃなかった。デーモンを探してるんです。何か見かけませんでしたか?」


「外にいたと思うんですけど?」


「あれは倒しました。」


「倒したんですか、あれを?」


「はい。倒しまくりました。」



 倒すためのダシに使われただけだったが、目の前の彼女は「あなたが」とは言ってないので、セーフ!「俺ら」が倒したから、セーフ!……ということにしておこう。いや、俺だけでも倒せたんやで、実際。



「私、森を歩いていたら、あのデーモンに襲われて。逃げ惑っていたら、この砦に辿り着いて、ここに隠れていたら、出れなくなってしまったんです。」



 出れなくなったのか。まあ、デーモンや悪霊に占拠されたんじゃ、出られないか。対策が出来てないと自分もデーモンになりかねないし、多勢に無勢だとどうしようもない。



「デーモンを倒したということは、ここから出られるんですよね?助かりました。」


「うん、まあ。」



 倒したけど、まだ、大本のデーモン・コア自体が見つかってないので、安全とは言えないだろう。しかし、本当のことを言って、この娘を怖がらせてもしょうがない。ずっと一人だと心細かっただろうし。



「じゃ、行こうか。」


「はい、ありがとうございます。」



 とりあえず、何はともあれ、被害者を一人保護できたんだから、みんなのところに一旦戻るとしよう。でも、何か引っかかるな?何だろうこの違和感は?でも、まあ、いーや。考えるのは後にしよう。


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