邪竜、復讐を決意！
勇者ロアは究極奥義によって、千年に一人の英雄を打ち倒した。
しかし、まだ戦いは終わらない。
ヴァル・ムングと結託していた邪竜レギンがまだ、どこかに潜んでいる。
いずれ、勇者と竜帝の娘を襲撃してくるだろう。
先代勇者、竜帝が倒れるきっかけを作った悪逆非道の邪竜を倒さなくてはならない。
勇者と竜帝の娘は決意を胸に旅立った。
二人は交易都市に辿り着き、新たなる試練に立ち向かうことになる。
「ヴァル様が負けた！？」
投影の魔術を使い、ヴァル・ムング様の様子を確認していた。
だが、その最中で不測の事態が起こった。
彼の強さを何よりも信じていたし、最高の武器、魔法の道具も供与した。
負ける要素など何もなかったはずなのだ。
「何かの間違いに違いない。」
そう思いたかった。最善を尽くしたはず。起こりうるはずがない。
これは事故だ。こちら側のミスであるはずがない。
「クルセイダーズか！奴らの手の者が二人ほどいたはずだ！」
確か風刃の魔術師、破砕の戦姫とかいう者たちが派遣されていたはずだ。
しかし、この者たちもヴァル様には遠く及ばない。
「では、隠れ里の竜共はどうだ？竜帝の娘もいたはず。」
普通に考えた場合、クルセイダーズよりも遙かに脅威になるはずだろう。
対策はしていた。竜殺の魔剣グラムを彼に渡していたため、
相手が並みの竜ならば脅威にはなり得ない。
竜帝の娘にしても、まだ若い。竜帝の血を引いているとはいえ、竜帝には遠く及ばない。
「勇者？いや、それはあり得ない。勇者カレルは死んだのだ。」
勇者カレルはヴァル様の手によって葬られたはずである。
血の呪法で更なる力を手に入れたヴァル様の敵ではなくなったのだ。
「勇者の額冠……？あれは次の代の者に引き継がれたようだが……？」
引き継いだ者がどれだけ優れていようと、ヴァル様に敵うはずがない。
ましてや、引き継いだ直後ならばカレル以下の力しかないはず。
「ならば、何故？何が起こったというのだ。」
自分自身に腹が立った。こうなるのであれば、ヴァル様に同行すべきだった。
彼はあのとき、一人で十分だと言った。
多少の部下は連れては行くが、総力を必要とするほどではないと言った。
彼の言葉を無視してでも、同行すべきだった。こんな不測の事態など発生しなかったはずだ。
「確かめなければ。」
せめてこの目で確認せねば。調査しなくてはならない。
不測の事態の原因を。何としてでも突き止めなくてはならない。
「私の目で確かめてやる！」
