変態を発見しました。
一回戦は無事勝ち進むことになった。今日はもう出番はないが、他の試合も見物することにした。運営の邪魔にならないような場所に移動する。
その最中で妙な視線を感じた。観客席の方向からだ。視線を感じる方向をふと見たところ、見覚えのある奴がいた。一見すると、ガイコツとかミイラのようにも見えるソイツはこちらに恨めしそうな視線を送ってきている。
「はは~ん、さてはアイツが犯人だな。」
巧妙に偽装したアンデッド。どういう仕組みかはわからなかったがローブを斬ったときに違和感を感じたのでアレに細工がされていたのだろう。それぐらいならヤツは思いつくだろう。変態屍霊術師オプティマなら。
「ホウ、奴が噂の変態野郎か。」
クルセイダーズ内部でも情報が共有されているんだろう、ファルちゃんも知っているようだ。俺やエド達と交戦した記録や、もっと前には殺処分される予定だったエルちゃんを拉致したりといった敵対行為をしているので、マークされていても、別に不思議ではない。
「ホントはアイツ自身が出場したかったんだろうな。代わりに偽装工作をしてアンデッドを出したと。」
アイツ自身もこちらを意識してか、悔しそうに地団駄を踏んでいる。しばらくして、奴は魔法を使う仕草をして、その場から姿を消した。転移魔法で逃げ帰ったようだ。作戦が失敗に終わったので、帰ったらヴァル様にこってり絞られるに違いない。ざまぁ!
「しかし、妙だな。奴らドラゴンズ・ヘブンがその程度でおとなしく引き下がるとは。」
言われてみれば確かにそうだった。オプティマだけじゃなくて、ヴァル本人が出場していてもおかしくないのに。様子見でもしているのだろうか?
「続きまして第二試合、またしても優勝候補の一角、オーデル・バックラーの登場です!」
俺らの次はアイツらの出番だ。そしてヤツらは次の第二回戦で対決することになるだろう。こんなこと言ったらヤツらの対戦相手に失礼かもしれない。でもおそらくジュリア達が勝つだろう。
「多分、一瞬で終わるだろうけど、応援してね!」
ジュリアのその声に会場が更に沸き上がった。勝利宣言どころか、瞬殺宣言しやがったぁ!ある意味相手が気の毒になってくる。
「そして対するは、ヴィクトリー・ボンバーズです!」
負け確……じゃなくて相手のコンビが出てきた。ジュリアの婚約者に負けず劣らずの重装備の騎士だ。
「貴様ら、一瞬で終わるとはどういう意味だ!」
おっと、対面して即険悪なムードになってしまったようだ。当然だ。これはジュリアが悪い。




