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だが、断る!

「狐面と対戦したいか?」



 ここはとりあえず狐面で釣ってみることにした。食いつきが良いので、利用させてもらおう。



「当然だ。武士たる者、強者とあれば戦わずにはおれぬわ!」


「じゃあさ、俺達で組まない?」


「何故だ?お主と組んでしまっては、お主自身と対決出来なくなる。拙者の言う強者にはお主も含まれている。それに……拙者と剣豪勇者との誓いを忘れたわけではあるまいな?この場で果たさせて貰う。」



 あちゃー!希望を絶たれたぁー!最後の希望が無残にも崩れ去った。断るって事は相方がいるって事だよね?



「じゃあ、アンタ誰と組むの?知り合いいんの?」


「フフ、心配ご無用。拙者には秘策がある。」


「秘策とは?」



 100年もダンジョンに籠もりっきりになってたばかりか、元々友達が少なそうなこの男にどんな秘策があるというのか?まさか、エア友達がいるとか言わないだろうな?



「拙者には傀儡の術があることをお忘れか?」



 侍は突然複雑な印を組んでから、気合いを込めて地面に放った。すると地鳴りとともに、地面から巨大な人型が現れた。その姿は……侍がダンジョン内で纏っていた砂の鎧その物だった。



「いやいや、こんなハリボテに相方が務まるわけないでしょ!」


「これは張りぼてではない。傀儡の術で自在に動く、我が分身よ。この国では魔法生物と呼ばれる物と同様なり。」


「グロロ!」


「ゴーレムって相方としてありなの?」


「魔法生物も特別に許可されておる。魔術師が魔法生物を従えて出場する事も考えての処置であるそうだ。問題なく出場登録は出来た。」



 そんなのありかよ!ありえねえよ!くそう、とんでもない方法で問題を解決しやがった。



「お主も早く相棒を見つけることだ。そうでなくては、拙者がここに来た意義がなくなってしまう。拙者を失望させないでくれ。」



 侍は去って行った。残された俺には虚無感しかなかった。



「しゃあねえな。ジジイを相方にする案を使う羽目になりそうだ。」

「呼んだか?」

「おうわっ!?」



 噂をすればなんとやら……。ジジイは突然現れた。脅かすなよ!



「なんじゃ、お主、まだ相方が見つからんのか?甲斐性がないのぅ。」


「うるさいな。そう簡単に知り合いに出くわすわけないだろ!」


「嘘をつけ。つい先程、振られておったではないか。」


「見てたのかよ!」


「見とったわい。こっそりとな。」



 ちくしょう。人の恥ずかしい所を見やがって。どうせ、このあとの酒盛りで散々ネタにされるに違いない。くやしい。このタイミングでジジイが出てきた所をみると、もうそろそろ日が暮れるということだ。もう時間がない。



「悪いなジイさん、もうなりふり構ってるヒマじゃない。アンタを相方にさせてもらうぜ!」


「ダメだと言ったではないか。儂が強すぎて優勝してしまうと。」


「戦わなくていいから!あくまで形だけの相方になってくれればいいから!」


「なんじゃあ、お主は人のことをなんだと思っておるんじゃ!」


「いいから、来いよ。時間がないって言ってるだろ!」



 早くしないと日が暮れる。このままでは本当に出場の機会を逃してしまう。急いで走り出そうとしたその時……、



「オイ、なにしてんだ?お前、ジジイと遊ぶ趣味でもあったのかよ!」



 挑発的なこの声!この声は忘れるはずがない。間違いない!アイツだ!



「ファルちゃんじゃねえか!」


「俺をちゃん付けで呼ぶな、つったろうが!ぶっ殺すぞ、テメエ!」



 最後の最後でコイツと出くわすとは!でも……コイツと組むの、俺?

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