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酔っ払いは手が付けられません!

「なんじゃと?大武会に出たいが、相方がいない?お主は何をしにここまで来たんじゃあ?」



 そこから聞くとおかしな話になってしまう。無理もない。俺がどういうことをしていて何のためにここへ来たのか、ジイさんは知らないんだし。



「説明すると、仲間と喧嘩してハブられたような感じになっちゃって。俺一人仲間はずれにされたってワケ。」



 ちょっと、いや、大分事実と異なっているが初対面のジイさんにホントのことを話すのには抵抗があるので、ウソをついた。彼女を寝取られたとか(※諸説あります。)、恥ずかしいことは口が裂けても言えない。



「なにぃ?仲間はずれになったじゃと?そりゃ、災難じゃのう。……では儂と組まんか?」


「……へ!?」



 何言ってんの、このジジイ!アンタなんかが出たら確実に鬼籍に入ることになるぞ。タニシにも負けそうな気がする。



「冗談じゃ!……儂が出たらウッカリ優勝してしまうわい!ほっほっほっ!」



 何を言ってんだ。酔いがかなり回ってるんだろう。顔が大分真っ赤になっている。飲み過ぎだっつーの!



「まあそれはそれとして、今のお主と実力が釣り合う者が相方として相応しかろう。」


「そんなヤツいるかなあ?」


「おるはずじゃ。お主自身の心に聞いてみるが良い。」



 俺の心に?そんなこと言われてもなあ……。いないはず……ん?実力が近いという意味では該当するヤツが一人いる。アイツの性格的に大武会に出場するとは思えない。それに俺と組むなんて話をしたら門前払いをされるだろう。



「やはり、おるようじゃな?ええか、一つ“あどばいす”をくれてやろう。」



 まただ。また見透かされた。心を読めるのかこのジイさんは。



「友という者は仲が良いと言うだけでは成り立たん。時には喧嘩をし、互いを罵り合い、ぶつかり合うことも大切じゃ。仲が悪すぎてもイカンがのう。どちらも程々が肝心じゃ。ちょっと仲が悪いくらいが一番うまくいくモンじゃ。」



 喧嘩するぐらいの仲……やっぱりアイツしかいないじゃないか。このジイさんホントに心が読めるんじゃないのか?



「儂にもかつて二人の友がいた。もちろん喧嘩ばかりしとったわ。三人揃って俺が一番強いなんてしょっちゅう言っておった。それでも不思議とうまくいくモンじゃ。だからこそお互い極限まで強くなることが出来た。そういう意味でも儂が大武会に出るわけにはイカンのじゃよ。儂は最強じゃからの!」


「またまた、冗談ばっか言っちゃって!年寄りの冷や水も大概にしとけよ。」


「ほっほっほっ!!!」



 ジイさんは俺の言葉を否定することなく、ヒゲをなでながら高笑いするのだった。

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