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のびのびィーヌ!

「いやあ、まさかボッタクリの宿だったとは!」


「ホントに危なかったニャ。みんなで騙されるところだったニャあ。」



 福引きで謎の賞を取って喜んだのも束の間、あとからやってきたタニシの話を聞いて、事なきを得たのである。かくいうタニシもだまされかけたらしいが。



「にしても、いい宿だなここは。アイツが紹介してくれたとは思えないな。」



 遊び人が紹介してくれた宿に泊まることになった。ジェイ達猫親子もついでだから一緒に泊まることになったのだ。遊び人も一緒かと思ったら、用事があるとか言って去って行ったらしい。遊び人だし、夜遊びで本領を発揮するのだろうか?



「ホントにありがたいニャ。宿を紹介してくれただけじゃなくて、ウチの子の遊び相手にもなってくれてるニャ。」



 いや、タニシが紹介したわけではないよ。この人、なんかヘンな勘違いが多いような……。天然かな?まあいいや……タニシは何して……、えぇ!?



「のびのびー!」


「あっあっ!あっあっあっ!!」


「あんなに楽しそうにしているのは珍しいニャ。」



 伸ばされている。文字通り顔の皮を伸ばされている。犬の皮ってあんなに伸びるんだな。そのまま、座布団でも作れそうな勢いだ。遊び相手というより、完全におもちゃにされている。



「良かったニャ。ここに来てホントに良かったニャ。明日はもっと楽しめそうニャ。」


「そういや、ジェイはなんでここにやってきたんだ?」


「あの子に勇者王の剣を見せてあげたかったのニャ。そしたら、勇者にも会えたのニャ。偶然なのに嬉しいニャ。」



 そうか。子供にそういうのを見せてあげるのはいいことだろうな。歴史的なものでもあるし、夢もあるしな。俺も勇者の名に恥じない立ち振る舞いをしないとな。でも、オッサン判定を貰っちまった……。



「勇者は何をしにきたのニャ?」


「まあ、それがこの前の戦いで折れてしまったんだ。そして、あのザマですよ。」


「ああ~。」



 さっきまで子供のおもちゃにされて、興味が犬のほうに移ったため床に放置されていた。カレルや俺が命を預けて激闘を繰り広げてきた剣の余生がこの状態なのを考えると、色々と複雑な感情が芽生えてくる。ある意味平和だからだともいえるが、果たして……。



「明日、俺達も剣の丘に行く予定だから、一緒に行こうか?」


「そうだニャ。それがいいニャ。」



 巫女に関する調査もあるが、カレルの剣を返還する必要もある。今日はタニシに預けていたので渡し損ねたし。



「それっ!それっ!」


「ム、むぎゥー!!この子、ムチャするヤンス!お助けヤンスぅ!」



 子猫は跳んだりはねたりで、タニシは揉みくちゃにされている。アイツ、懐かれてんなあ。意外と子供に好かれる才能あったんだな。

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