脅威の100%オフ?
「いきなり、なにすんでヤンスかぁ!」
派手な女の子は町の大きな通りまであっしを引っ張ってきたでヤンス。この子は確か……ミャーコちゃんという名前だったはずでヤンス。この前ダンジョン教習に来た、遊び人の女の子でヤンス!
「ワンちゃん、危なかったよ。あの宿ボッタクリだから。」
「ボ、ボッタクリぃ!?」
ま、まさかのボッタクリ?そんなのわからないでヤンス!そんな風に見えないでヤンス!
「福引きに当たったと見せかけて、法外なサービス料を吹っ掛けてくる悪質なやり口だよ。ダメだよ、気を付けないと!」
「ぐ、グムぅ~。」
説教されたでヤンス。この前はあっしがこの子にダンジョンのこと教育したところでヤンスのに。立場が逆転してるでヤンス!
「じゃあ、この辺おすすめの宿は何かあるんでヤンスか?」
「うーん?そうだねえ?……じゃあ、馬小屋とか?」
「う、馬小屋ぁ!?」
間違いではない、間違いではないでヤンスけど、アウトでヤンス。確かにこの前、ダンジョン攻略の基本とは教えたでヤンスけど……。そんなところにしたら、姐さんにあっしの存在を100%オフされてしまうでヤンス!
「だってこの前、ワンちゃんが教えてくれたじゃん?別にそれでいいじゃん?」
「そんなところにしたらあっしの立場が危うくなるでヤンス!」
「え~?そのほうが面白いじゃん?」
「シャレにならないでヤンスよお!」
面白くない!そんな体の張り方はしたくないでヤンス!あっしはコメディアンではないでヤンス!
「例えば、こう、なんというか、安さとクオリティのバランスとかが重要なんでヤンスよ!」
「え~?なに?わかんない。そういうのはフィーリングなんだよ。ビビッとくるかどうか、みたいな?」
ふぃ、フィーリング!そんなカンだけでいいところが探せるわけないヤンス!
「色々情報をかき集めて分析して、あーのこーのして、なんたらかんたらするのが一番なんでヤンス!そんなフィーリングみたいなふわっとしたものに頼るから、ボッタクリにあうんでヤンス……、ってそれはあっしのことでヤンぅ!」
「うける~!わかってんじゃん!やっぱり日頃からフィーリングは磨かないといけないんだよ。じゃないとぼったくられるよ。」
「にゃあ~……。」
何か猫の鳴き声が聞こえたような?気のせいでヤンスかな?
「なに、なに?まだウケたいからって、猫の鳴き真似?ワンちゃんたら無理しちゃってえ!」
「にゃあ~……。」
また聞こえた!一体、どこから?とりあえず、声の出所を探すでヤンス!こことかそことか!
「なに?今度は探偵ごっこ?」
「違うでヤンス!一緒に探すでヤンスよ!」
「ええ~?」
店と店の間の所を見てみたら……、子猫、もとい猫人の子供がいるでヤンス!
「どうしたでヤンスか?パパとかママとは一緒ではないでヤンスか?」
「にゃあ~……。」
泣いてばかりで答えてくれないでヤンス!このままでは困ってしまうでヤンスよ!