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待ち受ける試練

「勇者様……?」



 ディーゲさんの声に俺はハッと目が覚めた。俺の目の前には白い柱……の様に見える勇者王の剣があった。現実に戻ってきたようだ。



「あの、儀式の方は?」


「え?ああ、終わりましたよ。勇者王に会ってきました。」



 現実に起きたことをありのままに話した。普通ならこんな話、誰も信じないだろうな。



「やはり、お会いになったんですね、勇者王様に。歴代の方々も同じ事をおっしゃってますけど、うらやましい限りです。私も一目お会いしたいものです。」


「そうすか?オーラありまくりでビビりますよ?」


「やっぱりすごいんですね、勇者王様は。」



 ディーゲさんはホントにうらやましそうだ。守護の役目を持ってても、ああいう奇跡を見ることは少ないんだろうなとは思う。日々の仕事があまり報われていないのでは?と思った。



「それより、勇者王が気になることを言ってたんすけど……。」


「ど、どのようなことを?」



 これについてはこの人にも伝えておいた方がいいだろう。一応関係者だし。でも、一般人には話さない方がよさそうだ。絶対、大混乱になる。



「“外からの脅威”と“剣の喪失”っていう試練が待ち構えてるそうです。」


「“外からの脅威”!?“剣の喪失”!?」



 見るからに顔色が悪くなっている。どっちのキーワードからも不吉な物しか感じない。しかも間近に待ち構えている様子だ。



「これはクルセイダーズにも伝えなければいけません。どのような脅威が迫っているのかはわかりませんが、備えるに越したことはありません。早速、動かねば……、」


「あの……、なおさら急がないといけないことが一つあるんすけど……、」


「何でしょう?」



 それを聞いてディーゲさんは何かビクッとなったような気がした。気のせいかな?気のせいだといいけど……。



「勇者の剣、俺の剣を作ってもらうにはどうしたらいいんですかね?」


「剣、ですか……?」



 やはりなにか、聞かれたくないことを聞かれたかのような反応をしている。



「勇者王の予言を聞いた後で落ち着いてられないかもしれないかもしれないすけど、脅威とやらと戦うには剣が必要なんで……。」



 いてもたってもいられないだろうけど、ここはなんとか説得するしかなかった。だって俺達全員の運命に関わることだし。



「勇者様は“剣の巫女”という存在をご存じですかな?」



 ディーゲさんは覚悟を決めて俺と正対して話を始めた。彼は俺がサヨちゃんから、勇者王からも聞いたことのない単語について質問してきた。



「何者なんすか、それ?」


「ご存じないのですね。剣の巫女とは勇者の剣に関わる重要な役職です。剣は巫女の手によって作られる物なのです。」



 意外な事実を知ることになった。たいてい剣ってのは鍛冶屋が作るもんだ。職人気質のゴツいオッサンが汗水垂らしながら、丹精込めて作り上げるものだ。勇者の剣もそうだと思っていた。でも、違うようだ。



「その剣の巫女に関してなんですが……、」



 ディーゲさんはすごく言いにくそうな顔をしている。まさか……?



「今現在、剣の巫女が不在なのです!」



 いないって言うのか!剣を作りにやってきたっていうのに、作れないなんて!そんなバカなことがあってたまるか!

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