勇者王見参!!
「まただ。あの時と一緒だ。」
あの時と同じ不思議な空間。二回目のはずなのに、なんだか懐かしい感じがする。もっと前から知っているような気もする。
「ついに勇者王の剣の元へやってきたようだね。」
聞き覚えのある声、とはいえこれで会うのは三度目。それでも忘れることのない印象に残る声。
「カレル!」
「ここへやってきたということは、とうとう自分の剣を作るということだね。その前に君はある人に会わなければならない。」
「ある人?」
周りを見ると多くの人がいた。あの時と同じく、歴代の勇者たちだ。前と違って人数が多くなっている。歴代の勇者たちの真ん中に異様に巨大な存在感を放つ人物がいた。後光が差していて顔や姿はここからでは確認できない。前にあんな人はいなかった。いたら印象に必ず残っているはず。何者なんだろうか?
「あの方だよ。」
やはり巨大なオーラを放つ人物に会わせるつもりのようだ。俺は黙ってカレルに付いていった。近付くにつれて、謎の人物の姿がはっきりと見えてきた。
「お連れしました。今生の勇者、ロアです。」
「うむ。ご苦労。」
とうとう目の前までやってきた。かなり昔風な服装をした老人だった。老人とはいえ、筋肉隆々で背もかなり高く、顔つき以外は若者にひけを取らないくらいの風貌をしていた。老人らしい部分は顔に刻まれた深いしわと、髪の毛と髭が白いところぐらいしかない。遠くから見てもすごかったのに、近付けば更にすごいオーラを放っているのがわかる。まぶしいくらいに。例えるなら、太陽だろう。とにかくそんな圧倒的な存在感だった。
「どうした?儂を見て驚いたか?こんな生き生きとした年寄りは現世でもなかなか見かけんじゃろう?」
「あ、ああ……。」
言葉にならなかった。圧倒されて頭が真っ白になる。何をすれば、何を話せばいいのかわからなくなってきた。
「儂はジュリアノス・クーザー。人呼んで、“勇者王”。儂が史上初の勇者じゃ。」
伝説の勇者王。目の前にいるのは歴史上の偉人なのだ。俺みたいなのがここにいるのが不思議だった。
「ホッホッホッ!はじめから堅苦しい話をしてしまっては余計にお主が緊張してしまいそうじゃ。ここはひとつ……、」
緊張で固まっている俺に気を遣ってくれるみたいだ。でもこのままじゃ何をしても状況が変わりそうにない。
「サヨの奴は元気にしておるか?」
「へ!?」
勇者王の口から意外な人物の名前が出てきた。俺は意表を突かれて目が点になった。