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剣の里“ソード・ラン”

「ようやく着いたぜ。剣の里に!」



 俺たちは剣の里“ソード・ラン”にやってきた。町の入り口には「ようこそ!剣の里へ!」という横断幕が掲げられていた。



「しっかし、派手でヤンスなあ。目がチカチカするでヤンス。」



 町のあちこちには客引き用の看板などが過剰に装飾されていた。そんなのがいっぱいある。



「当然じゃ。ここら一帯では有名な観光地じゃからの。ノウザン・ウェルとはいい勝負じゃ。こっちは一般人の割合が多いがのう。」



 そうだった。あっちはダンジョンの町という関係上、冒険者が多かった。こっちは見るからに冒険者の割合が少なく見えた。店も冒険者向けの物より土産物屋が目立つ。



「いろいろ目移りするでヤンス。まずは“ソード焼き”が食べたいでヤンス!」



 そこらの土産物屋にはソード焼きの幟が必ずと言っていいほど、立てられていた。知らなくても、一目見れば名物料理なんだろうなということはわかる。



「ええ?そんなのより、俺は早く剣を作ってもらいたいんだけど。」


「なんじゃ?珍しいのう。いつもなら食べ物にがっつくのはそなたの方じゃろう?何を焦っておるのじゃ?」



 そんなことを言われるのは心外だった。ここに来たのは剣を作ってもらうためだ。早く手に入れたい、というより手にしなければならない。なにかそういう思いだけが先行している。



「焦っても仕方がないぞ。行ったところですぐに作れるわけではないからのう。ここは焦らずに一休みしてからでも良かろう?」


「そういうのじゃないんだよ。そんなことしに来たわけじゃないだろ。それこそ後回しでもいいじゃないか。」



 そんなことは後からでも出来る。剣が出来てから楽しめばいい。今やることじゃない。



「もういい!俺だけで行ってくる。それなら文句ないだろ!」



 つい語気を荒げてしまった。俺の中のイライラが爆発してしまったんだ。



「落ち着け。ここは焦らずに休んでからにせい。」


「知らねえよ!お前らだけで、勝手に楽しんでりゃいいだろ!」



 俺は勢いに任せて駆け出した。みんなを置いて振り返らずに駆け出した。



「勇者様!」



 後ろからエルちゃんの悲痛な呼び声が聞こえた。でも振り返らない。今はただ、剣を手に入れるために急ぎたかった。

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