ちょ、待てよ!!
「バカばかりでよかったニャ!さっさとやっちまうニャア!」
「ちょ!ちょっと、まって!」
「待てないニャア!」
「阿呆じゃ。」
ちょ!賊はともかくサヨちゃんまで呆れてるし。このままだと略奪されてしまうぞ!
「もういい!折れた剣でもやったらあ!」
ないものはないのだ。あるものだけでなんとかするしかない。やろうと思えばなんでもできる。元気さえあればな!昔、偉い人が言ってたし。
「おとなしく死ぬがいいニャ!」
「おとなしくなってたまるか!」
猫人の賊は半分以上が素手だった。武器はなくても強いのはこの前見たことがある。ジェイだ。彼も素手だった。素手でも身体能力は人間よりもいいし、鋭い爪を持っていることも忘れてはいけない。
(ヒュン!)
格闘による攻撃はかなり鋭い。武器持ちの相手に全然引けを取らないだろう。でも、そこまで脅威を感じない。俺には力任せ、身体能力任せなでたらめな攻撃に思えた。
「これならいける!くらえ、破竹撃!」
かわしつつ、攻撃を入れる。こんな相手に空隙の陣を使うまでもない!
(スカッ!!)
あああ!しまったあああ!いつもの感覚で技を出したら、壮絶に空振りしてしまったああ!折れてなかったら当たってたのに!
「やっぱり、バカニャ!」
反撃の隙を与えてしまった。くそう!
《ロアよ!》
そのとき、サヨちゃんが思念波を送ってきた。何だ?
《武器が必要であろう?これを使うがよい。》
見るとサヨちゃんが細長い棒状の物を投げようとしていた。こんなタイミングでそんな物を出してくるとは。
《受けとれい!》
隙を見て敵から離れ、武器を受け取った。これは……刀?どこかで見覚えがある。早速抜いて戦いを再開する。
「よし、これならなんとかなりそうだ。かかってこい!ドロボウ猫共!」
「ふう!なんとか片付いたな。」
あの後、結構あっさりと片付いた。まあ、俺だけじゃなくて、エルちゃんも戦っていたからな。その分早かったのだ。
「侍の餞別の品が役に立ったようじゃな。」
「侍のヤツだったのか。でもコレって折れてなかったっけ?」
そう、妖刀ムラサマだ。ダイヤ野郎との戦いで折れたはずだ。何故か元に戻っている。
「魔術でなんとか修復してみた。元の強度には劣るかもしれぬが、勇者の剣を作るまでの繋ぎとしては十分じゃろう。伝説の妖刀じゃからな。」
「元の強度には劣るか……。」
正直、不安だった。第一、剣と刀では使い勝手が違うからだ。長さも、重さも違うしなんと言っても、両刃と片刃の違いも大きい。梁山泊でも剣と刀でそれぞれ分けているぐらいだ。慣れるまで時間がかかりそうだ。早く新しい剣を手に入れたい……。