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勇者の剣を求めて

「そういえば、エルちゃん。その棒はどういう経緯で手に入ったの?」



 タニシが準備して戻ってくるまでの間、聞きそびれたことを聞くことにした。



「これは……ですね、迷宮にいたドッペル・ゲンガーから奪いました。」


「奪ったの!?」



 エルちゃんから似つかわしくないセリフが飛び出てきて、動揺した。なんでそんなことに?



「奪ったと言うより、選ばれたと言った方が正しいかもしれません。私の中に残る魔王の気配が引き寄せたみたいなんです。実は魔法生物みたいに生きてるんですよ、これ。」



 魔王の遺産ということだけは聞いていたけど、やっぱりヤバイ代物のようだ。



「捨てようよ、エルちゃん!それは物騒すぎるよ!」


《勇者よ。我を畏れているのか?我が主に危害を成す物は何人たりとも許すわけにはいかん。》


「棒がしゃべった!?」



 しゃべったワケじゃなくて、思念波だけど。それはともかく、ホントに生きているようだ。生意気な!エルちゃんに危害を加えようとしているのはそっちじゃないのか?



《一戦交えるか?私は一向に構わんぞ。》


「な、なにを~!?やんのか!」


「やめて下さい!二人とも!喧嘩しないで下さい。私が許しませんよ!」


《主が言うなら、それに従おう。》


「はい!ごめんなさい!もうしません。」



 怒られた。エルちゃんに怒られたんなら仕方ない。



「そやつ自身には悪意は感じられん。あくまで持ち主に忠実なだけなようじゃ。問題なかろう。」



 サヨちゃんがそう言うんなら、問題ないか。



「ところでそいつの名前は何?そのまま、魔王の遺産なわけないよね?」



 遺産なんて呼び方したくないし、呼びづらい。遺産なんて聞いたら、普通はお金のイメージしかない。なんか言い呼び名はないものか?



「黒牛の尖角というのが正式名だそうですよ。」


「やっぱ、元の持ち主が牛だからそうなるのか。」



 エルちゃんが持つ牛の角……。なんかイメージが悪い。イヤすぎる。



「そうじゃ!エル坊が持っておるのじゃから、……エル棒というのはどうかのう?」



 何、にやけながら言ってんだよ!ふざけてんのか!



「エェ……。なんだか可愛くありません!」



 かわいくない……、たしかにそうかもしれないけど、かわいくないとダメなの、エルちゃん?



《ライカーガスだ。我を呼ぶなら、その名で呼ぶがよい。》



 まさかの本人指定!まあいいか。ヘンな呼び方にするよりは格好は付くだろう。



「ライカーガス……。確かそんな名前の魔術師が昔おったような気がするのう。」



 ただの偶然なのか、本人なのかはわからないが、まあいいだろう。下手な詮索はやめておこう。今はエルちゃんの武器としての役割に徹してくれているんなら、それでいいだろう。



「お待たせ、でヤンス!」



 タニシがやって来た。やけに物々しい格好で来た。大きな風呂敷に物をいっぱい詰め込んでいる。何が入っているんだ?



「ワン公よ、余計な物ばかり入っているのではなかろうな?」



 サヨちゃんがこれ見よがしに、風呂敷をつついている。ガチャガチャと音を立てる。中身が気になる。



「全部必要でヤンスよ!これでも厳選したでヤンスよ!」



 厳選してこれかよ!他に何を持ってこようとしてたんだ?



「まあよい。その重さが命取りになることは目に見えておるが、敢えてそれも社会勉強として学ぶもよかろう。」


「く、屈しないでヤンスよ!コボルト魂を見せてやるでヤンス!」



 サヨちゃん、相変わらず鬼畜だな。ホントに意地悪でドSだ。



「じゃあ、行くか?揃った事だし。」



 勇者の剣を求めていざ出発だ。でも、何か忘れているような気がする。そういえば……、



「狐面はどこ行ったんだ?いつの間にかいなくなっていたけど?」


「そうですよね。気が付いたらいなくなっていました。」



 ダンジョンを出て以降、見ていない気がする。タル屋で打ち上げした時にはいなかった。



「あの方なら大丈夫でしょう。元から勇者様を見守っていてくれていたんですから。」


「そうか、じゃあいいか。気にしなくても。」 


 

 相手はなんていっても、五覇だ。俺よりはるかに格上の存在だし、心配ないはずだ。



「行こう!剣を求めて出発だ!」



 次に待ち受けているものは何だろう?剣を作ってもらうだけだから、何もないとは思うが、何だろう?何か変な胸騒ぎがする。

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