表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
169/1085

……目ノ前ノ 敵スベテヲ…斬ル!!

「虚心坦懐……、絶空八刃!!」


(ズボアッ!!!)



 空間を斬る。我ながら大それた技だと思う。不死身の相手、実体のない悪のエネルギーとか色んな物を斬ってきたが、斬るという概念が通用しなさそうな相手まで斬ることになるとは……。



「やった……か?」



 何かを斬った感覚はある。でも、倒した、という実感はまだない。



「私を斬るだと?そんな馬鹿なことが……、」


(ミシッ!!)



 何かがきしむような変な音がした。その音がすると同時にダイヤ竜たちが一斉に動きを止めた。



「ウゲッ!」



 ダイヤ野郎は妙な奇声を発した。効いたんだろうか?実体が見えないので、わかりにくい。



「ロア!今一度、あの技を使うのだ!まだ、浅い!渾身の一撃を決めろ!」



 狐面が叫ぶ。アイツがそう言うんなら大丈夫なんだろう。俺は二撃目の姿勢を取った。



「痛みだと、馬鹿な!私は痛みなど、とうの昔に克服したはずだ!ありえぬ!一体何をしたというのだ?」



 痛みを克服した?感覚がなくなっていたんだろうか。もうそんなものは生き物ですらない。死んでいるも同然じゃないか。



「決して許さぬぞ、野蛮人どもめ!全力でひねり潰してくれるわ!」



 ダイヤ竜たちが他を無視して、俺目掛けてい一斉に突進してきた。脇目を振らず猛然と。何千年ぶりに感じた痛みにヒステリーを起こしているみたいだ。



「もう一度だ!次で決めてみせる!」



 再び集中を始める。……さっきと違って、相手がこっちに意識を向けているせいか、気配がハッキリわかる。敵の手が迫っているとはいえ、かえってチャンスになった。



「虚心坦懐……、絶空八刃!!!!!!」


(ズボアッ!!!)


(ミ…シッ。)



 斬った。今度はハッキリと手応えがあった。下手をすると、自分の腕が折れてしまいそうなくらいの圧を感じた。でも、斬った。途中からは剣の刃を滑らせるような感じでスッ、と斬れた。



「私は…ふ…じ…み……だ。」



 斬った瞬間からダイヤ野郎の様子がおかしくなった。おかしくなる自分をおさえようとしているようにも感じる。



「私は…完全なのだ。負ける、死ぬ等ということはありえない。」



 とうとう現実逃避を始めた。魔法を極めた伝説の王が情けないことになっている。



「私は…そうだ、死さえも極めたのだ。私は更に完全になったのだ。そうだろう、ロバート?」



 おかしなことを言い始めた。ところで、ロバートって誰?



「死を極めた!死を極め…死をきわ…死をき…死を…死……、」



 止まった。ついに死んだか。



「ロバアァーーーートぉぉぉぉ!!!!!!」 



 だから誰なんだよ、ロバートって!最後にモヤモヤさせんじゃねーよ!未完で終わるなよ!



(ビキ……ビキビキッ!…バキッ!!)



 何かが壊れるような音がし始めた。……そうか!アイツが死んだから空間が壊れ始めてるんだ。



「空間が崩壊するぞ!」



 今まで存在していた地面、景色、建物が消えていった。同時にダイヤ竜たちも消えていく。全てが音を立てながら壊れた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ