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勇者がやらねば誰がやる!

《では、この空間を解除する。》



 今見えている空間は、前にサヨちゃんが使った仮想空間の魔法と同じようなものなんだろう。おそらく、周りの時間はたいして経過してないはずだ。



「戻ったぜ。さあ、こっからが本番だ!」



 目の前では、ヴァルがダイヤ竜数体相手に戦いを繰り広げていた。そして、相変わらず得体の知れない巨大な気配が空間に満ちている。この気配からヤツの実体を見定めるんだ。



「勇者よ。私と貴様とで、金剛石の王をどちらが先に倒せるか、競い合おうではないか。私が竜を殲滅しきるか、貴様が王を斬り捨てるのが先か、をだ。」


「パゴア!私を競合の対象にするな!これは遊びではないのだぞ!」



 もはや、ダイヤ野郎の立場が無くなってきている。そして、小物臭がだんだんと強くなってきているのは気のせいだろうか?



「観念なさい。貴方が負けるのは時間の問題だわ。ヴァル様がこの場に来た時点で貴方の負けは決まっているのよ。」


「黙れ!」



 魔女め。ヴァルのことばっかり。俺が倒すってのは考慮してないのか。まあ、別にいいけど。敵だし。



(虚心坦懐……。)



 俺はさらに集中力を高めた。ダイヤ野郎の気配を探る。何体もいるダイヤ竜は当然として、何体か残っているダイヤ戦士の気配も感じ取ることが出来た。それに……奥の方からは次々と増える新たなダイヤ竜の気配もわかる。



(これだけか?)



 ダイヤ竜の出所はわかっても、全体に漂う大きな気配の出所が掴めない。どこかに本体がいるはずでは……?



(もしかして……もしかすると?)



 俺は考える内に恐ろしい結論に至った。本体は逃げも隠れもしていない。最初からここにいた。いた、というのはちょっと違うかもしれない。



(“この場所”、そのものがアイツ自身なんだ!)



 この空間そのもの、ダンジョン自体がアイツなんだと仮定すれば、全てに説明が付く。だからこそ、この空間全体に気配が漂っているんだ。



(一回試してみればわかることだ。間違ってりゃ、また一から考えりゃいいんだ!)



「みんな、聞いてくれ!ダイヤ野郎の正体がわかった!今から止めの奥義を使う!」


「何!」


「何じゃと!」


「勇者様!」


「ほう!試してみるがいい、勇者よ!」



 方々から反応が帰ってきた。その期待をかなえるために、俺は奥義の力を高めなきゃいけない。



「戯言ばかり言いおって!私を倒すことは不可能だ!」


「不可能を可能にする……、それが勇者だ!」

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