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英雄の帰還

「何者だ!全く、次から次へと!この場所を何だと思っているのだ!」


「これは、これは、金剛石の王よ、失礼した。私は新たなる英雄王、ヴァル・ムングと申す者だ。」



 ヴァル・ムング!生きていた?そんなはずは……、俺の八刃を食らって再生不能になったはず。



「英雄王だと?笑わせるな!人間風情が生意気抜かすな!」


「人間?私は人間を超越した。それどころか過去の遺物たる貴公さえもだ。」


「遺物だとぉ!」


「先程、私の部下からも話があったはずだが?私は血の呪法を使って更なる力を手に入れた。これは普通の者には使いこなせぬよ。私だからこそ超越者となれたのだ。」



 更なる力?確かに言われてみれば、以前と気配が違う。前も圧倒的な威圧感があったが、さらに強圧になっている気がする。



「超越者だと?私を差し置いて、その様な事を抜かすのか!」


「疑うのであれば、実際に試してみるのがよろしかろう。」



 ヴァルはダイヤ野郎を挑発した。わかりやすい挑発にダイヤ野郎もストレートに乗った。ヴァルを叩き潰そうと、近くにあった魔女の氷塊を持ち上げ、ヴァルの頭上から叩きつけた。普通、こんな攻撃を食らったらひとたまりもない。普通なら……。



「パゴア、パゴア!馬鹿め!あっさりと潰れおったわ!大口を叩いた報いだ。」



 ダイヤ野郎は勝ち誇ったようにバカ笑いを始めた。ホントに倒したと思ってるのか?アイツの威圧感は全く消えていないのに。側にいる魔女は余裕の表情を浮かべ、クスクス笑っている。自分の主の強さを誇っているようだ。



(ドボォァッ!)



 氷塊からいきなり熱光線が発せられ、そのままダイヤ竜の頭部を貫いた。これは……ドラゴン・ブレスか!



「どうですかな、金剛石の王よ?これは挨拶代わりだ。お気に召しましたかな?」


(ドザァァァァァッ!!)



 氷塊が一瞬にして溶け、周囲に雨のように降り注いだ。その中から、アイツが姿を現した。しかも姿が変わっている!さっきは武装してなかったのに、全身鎧に身を固めている。



「これがドラゴン・スケイル・アーマーだ。まあこれがなくとも、防ぐことは出来たがな。ある意味、新たな能力のお披露目といったところだ。」



 そう言って俺の方を見た。自信に満ちた目だ。ダイヤ野郎にではなく、俺に見せつける意図があったのだろう。相変わらずめざといヤツだ!



「アストラル・アーマーか!所詮そんなものは我が魔光結晶に勝てはしないのだ!」



 頭が吹き飛んで潰れた個体を押しのけ、別の個体がしゃしゃり出てきた。



「違うな。似ているようで別物だ。魔力ではない、竜闘気を実体化させ身に纏った物だ。強度は比ではない。」


「抜かせ!そんな物が何になる!魔力こそが至高なのだ!」


「強度は遙かに上だ。その証拠をお見せしよう。」



 ヤツは手をかざし、構えを取った。するとすぐに手元へ突然剣が現れた。アレは竜殺剣グラム?あれは折れたはずだし、若干見た目が変わっているような気がする。



「これが新たな我が剣、“ヴァルムング・ソード”だ。」



 言うなりダイヤ竜に斬りかかり、頭からバッサリと真っ二つに切り裂いた。



「言っておくが、何も技は使っていない。無造作に斬っただけでこの威力だ。」


「馬鹿な!?」



 やっぱり強くなっている。普通に斬れるんなら魔光結晶よりも強いのは明らかだった。



「この通り、貴公の時代はとっくに終わっているのだよ。それでも醜態をを晒し続けるつもりかな?」


「おのれ!」



 一斉にダイヤ竜がヴァル・ムングに襲いかかった。サヨちゃんを羽交い締めにしていたヤツらまで襲いかかっていた。そうしなければ、アイツ自信に勝ち目がないからだ。次から次へとヴァルに倒されていく。倒されてはいるが、奥から新しい個体が湧いてきていた。



「勇者よ。」



 戦闘を片手間にヴァルが俺に話しかけてきた。何を言うつもりだ。



「見ての通り、私では金剛石の王に止めを刺してやることは出来ん。お前の技が必要だ。私さえも地獄の縁へと追いやったあの技がな。」



 あの技……八刃か。宿敵にまで言われてしまうとは。ダイヤ野郎の息の根を止めるには結局、八刃を使わないといけないのか。

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